車を売ってもリサイクル料は返ってこない!その内訳と料金を徹底解説

そもそもリサイクル料金って何なの?
車を売ったらリサイクル料金は返ってくるの?
車を売るときによくリサイクル料金という言葉を耳にしませんか。
リサイクル料金を簡単に説明すると、車を購入する際に前払いで納付することを義務づけられている、車の廃棄処分のための費用です。(詳しくは後ほど説明します)
また車を売る際には購入時に支払ったリサイクル料金は原則として返って来るにもかかわらず、実際に払ったはずの料金が返ってきてないという問い合わせも多いようです。これはなぜでしょうか。
この記事ではリサイクル料金についての詳しい説明とリサイクル料金が返ってこない理由について説明していきます
リサイクル料金の概要
・リサイクル料金とは自動車リサイクル法が定めた自動車の廃棄処分にかかる費用の一部を負担するために車を購入した時に払うもの
・リサイクル料金の目安は7000円から1万8000円
・車を売る際にはリサイクル料金は原則として査定額の中に含まれて返ってくるためリサイクル料金は単体で返ってくるということは少ない
このページのもくじ
そもそも車のリサイクル料金とは何なの?
ここからは車のリサイクル料金に大きく関係する自動車リサイクル法となぜリサイクル料金を払わなければならないのかということについて説明していきます。
自動車リサイクル法とは
自動車リサイクル法とは、車のリサイクルに対して車の所有者、関連事業者、自動車メーカーや輸入業者の役割を定めた法律です。車の所有者はリサイクル料金を支払い、自治体に登録された車の引取業者へ廃車を引き渡す役割があると定められています。
車の所有者(最終所有者)は、新車を購入するときにリサイクル料金を支払うのが原則です。その領収書として受け取るのが「リサイクル券」と呼ばれる書類です。
また、リサイクル関連会社の役割も定められています。引取業者は廃車を引き取った場合に、フロン類回収業者または解体業者に引き渡す役割があります。
フロン類回収業者は基準に従ってフロン類を回収し、自動車メーカー・輸入業者に引き渡します。解体業者は基準に従い、エアバック類の回収と解体作業を行った後、自動車メーカー・輸入業者に引き渡す役割です。破砕業者は基準に従い解体自動車(廃車ガラ)の破砕(プレス・せん断処理、シュレッディング)を行った後、シュレッダーダスト(クルマの解体・破砕後に残る老廃物)を自動車メーカー・輸入業者へ引き渡す役割が定められています。
自動車メーカー・輸入業者は製造した車または輸入した車を対象に、シュレッダーダスト、エアバッグ類、フロン類を引き取り、リサイクルなどを行います。
このように、自動車リサイクル法とは自動車に係るすべての関係者の役割について定めた法律です。
リサイクル料金の目的
かつては、自動車解体業者などが中古部品や金属スクラップなどをリサイクルしていましたが、最終処分場の容量が不足したことで、廃車の不法投棄や不適正処理が懸念されるようになりました。
また、カーエアコンはきちんと処理されないと、環境問題を引き起こす要因となってしまいます。処理のために専門技術を必要とするエアバッグ類を装着した自動車が増加したことも、自動車リサイクル法が定められた背景の1つです。
自動車に係わるすべての関係者が協力し、廃棄物を減らして資源を有効利用することによって、循環型社会システムをつくることが自動車リサイクル法の目的であり、リサイクル料はその目的のために支払われています。
リサイクル料金は乗っていた車の廃棄処理を行うための協力金のようなものとして考えることができますね。
リサイクル料金の目安と支払い方法
ここからはリサイクル料金がどれくらいの値段なのか、またその支払い方法について説明していきます。
リサイクル料金の目安
リサイクル料は売る車のメーカーや車種によって異なります。
軽または小型乗用車(エアバッグ類4個、エアコン有り)の場合は、7000円~1万6000円程度です。
普通乗用車(エアバッグ類4個、エアコン有り)の場合は1万円~1万8000円程度を支払います。
また、中・大型トラック(エアバッグ類2個、エアコン有り)の場合は1万円~1万6000円程度、大型バス(エアバッグ類2個、エアコン有り)の場合は4万円~6万5000円程度です。
また、これらのリサイクル料金に加えて、資金管理料金として新車購入の際に380円、車検時または廃車時の際に480円、情報管理料として230円を支払います。
購入する車の種類や搭載する機器にあわせて、あらかじめリサイクル料の目安をつけておきましょう。
支払い方法
リサイクル料は、新車で車を購入する際に車の代金と一緒に販売店に支払います。また、中古車購入時はリサイクル料金を含んだ車両代金を買い手が支払うかたちとなります。つまり、所有者が変わっても、車とともについて回るのがリサイクル料です。
また、自動車リサイクル法が施行される前に販売された車はリサイクル料が支払われていません。この場合、車を売却または廃車にする際に、引取業者に支払います。
なお、中古車を輸出する場合は、リサイクル料金返還手続などの制度が定められています。
リサイクル料は原則として新車の購入時に販売店に支払うため、行政機関などに行く必要などはありません。
リサイクル券とは何か
リサイクル券とは、車のリサイクル料を支払った際にもらえる証明書のことです。
原則としてリサイクル料金は前払いであり、車を購入した際に販売した業者からリサイクル料金を払った領収書のようなものとして受け取ります。リサイクル券は車検を受けるために必要なので、車検証と一緒に保管されていることが普通です。2008年1月以降、リサイクル券は必要なくなりましたが、一般的に車検証と保管するものとされています。
リサイクル券はA~D券があります。
A券はリサイクル料金の預託証明書、B券は中古車として引取業者に引き渡した時に引取業者が必要事項を記入して最終所有者に交付するものです。
C券は自動車リサイクル促進センターが資金管理料金を受領したことを証明する書面であり、法人の自動車ユーザーが資金管理料金を費用処理する際に証明書として使えます。D券は事業者などが自動車のユーザーにリサイクル料金を知らせる際に使用し、事業者の控えとなるものです。
リサイクル券はリサイクル料を支払った証明書であり、A~D券の4種類がありますが、自動車ユーザーにとって大切なのはA券とB券です。
「A券」と「B券」は車検時や使用済自動車を引き渡す時に必要となるので、車検証と一緒に保管しておきましょう。なお、廃車時はリサイクル券が発行されない代わりに、引取証明書が発行されます。
またリサイクル券を紛失した場合、再発行はできません。しかし、車検や買い替えに影響はなく、車検時にリサイクル券を提示する必要もありません。車の買い替え時にリサイクル料金の預託証明書が必要な場合、「自動車リサイクル料金の預託状況」が証明の代わりとなります
「自動車リサイクルシステム」のホームページから「自動車リサイクル料金の預託状況」をプリントアウトしてリサイクル券の代わりに使えます。
このように、リサイクル券を紛失、毀損した場合でも大きな問題はありません。
車を売ったらリサイクル料は返ってくるのか?
冒頭でもお伝えしましたが車を売る際にはリサイクル料金は返ってきます。一方で、リサイクル料金が返ってきていないという声が上がっています。
これは下取りや買い取りの際には、ディーラーや買取業者が査定額のなかにリサイクル料も含んで計算しているからです。
したがって、リサイクル料の返還という名目で戻ってくることはありませんが返還されます。ただし、一部の買取業者では、査定額には含まずに買取代金とは別にリサイクル料を支払うこともあります。リサイクル料は廃車時に必要なものですから、本来、売却時に車の前の持ち主に返還されるはずです。
しかし、実際はこのリサイクル料は中古車を購入した人が支払うため、査定額に含めたほうがお互いに手間がかかりません。 そのため、一部の業者によってはリサイクル料を支払うこともありますが、通常は査定額に含まれて戻ってきます。
車を購入するとき、売却するときには、必ずリサイクル料が関わってきます。特に、車を売る際にはリサイクル料が返金されるはずなので、よく確認しておきましょう。
そのためにも、リサイクル料について理解しておき、買い替え時にリサイクル料がどのような扱いになっているのかチェックできるようにしておくことが大切です。