S660のエンジン性能ってどうなの?パワーアップは可能? | CARTUNEマガジン
S660のエンジン性能ってどうなの?パワーアップは可能?

2019年05月10日 (更新:2020年06月08日)

S660のエンジン性能ってどうなの?パワーアップは可能?

ホンダが2015年に発売したS660。軽自動車でありながら本格的な運動性能を実現していることや、気軽にオープンドライブを楽しめることから高い評価を獲得している軽スポーツカーですが、人によってはS660のエンジン性能が物足りないと感じている人もいます。実はS660のエンジンにはスポーツカーとしては致命的な欠点があるのです。今回はS660の欠点を解説するだけでなく、その欠点を克服するためのチューニングパーツを紹介します!

S660ってどんな車?

taku@Zeyoo' sさんのS660JW5の画像
taku@Zeyoo' sさんのS660JW5の画像

ホンダが2015年に新たに発売した軽スポーツカーであるS660。ホンダが製造する軽スポーツカーとしては1996年に販売終了となった「ビート」以来の車種で、類似したコンセプトを採用していることからピートの再来と呼ぶ声もあります。

なぜビートの再来と呼ばれているのかというと、MRレイアウトを採用しているからです。MRレイアウトとは、エンジンをキャビン後方に配置し後輪を駆動させる駆動方式のことで、走りの性能を追求したスーパーカーなどに採用されることの多いレイアウトとなっています。

街中を走っている大半の車がFF(前輪駆動)を採用していて、走りを重視した一部の車がFR(後輪駆動)を採用しています。そういった車が多いこの世の中で、MRレイアウトを採用したスポーツカーの存在は本当に貴重です。

また、S660は脱着式ソフトトップであるロールトップを採用しています。ロールトップとはくるくると巻いてコンパクトに収納できるルーフのことで、ロールトップを取り外せばS660は気軽にドライブを楽しめるオープンカーへと変貌を遂げるのです。

S660は時には過激な走りを、時には快適なオープンドライブを、走行シーンによって様々な走りを楽しむことができる車となっています。軽自動車であることを残念がる人も少なくはありませんが、軽自動車であるがゆえに維持費もリーズナブルです。

維持費がリーズナブルだからこそ「オープン2シーター」という実用性に欠けるジャンルのスポーツカーであっても、気軽に所有できて人気を博しているのではないでしょうか。今回の本題はS660のエンジン性能についてですが、まずは主要スペックをチェックしてみましょう。

基本スペック

ゃちこまさんのS660の画像
ゃちこまさんのS660の画像

まずはS660の主要スペックを以下に記載します。

エンジンS07A型:0.6L直列3気筒
駆動方式後輪駆動(ミッドシップ)
最高出力(PS/rpm)64/6,000
最大トルク(kgf・m/rpm)10.6/2,600
トランスミッション6MT/CVT
サスペンション前後:マクファーソン式
全長×全幅×全高(mm)3,395×1,475×1,180
車両重量(kg)830~850

これがS660の主要スペックです。S660はホンダの売れ筋モデルであるN-WGNをはじめとする「Nシリーズ」と同じS07A型0.6L直列3気筒ターボエンジンを搭載しています。しかし、全く同じエンジンというわけではありません。

エンジン性能

S660に搭載されているS07A型エンジンは、NシリーズのものをベースにS660専用に開発されたターボチャージャーが組み合わされています。これにより一般的な軽自動車と同じエンジンであってもスポーツカーらしい動力性能を実現しました。

そんなS660のS07A型エンジンが発生させる最高出力は、64馬力、最大トルクは10.6kgmです。この「64」という数値は軽自動車の馬力自主規制値になります。今後撤廃される可能性はありますが、今のところ64馬力を超える軽自動車が市販化された前例はありません。

要するに、S660は現在の軽自動車で実現できる限りのパワーが備わっているということです。10.0kgmを超える軽自動車としてはパワフルなトルク感も魅力だと思います。低速からしっかりとトルクが発生してくれるのでのんびりとドライブを楽しむことも可能です。

トランスミッション

S660はスポーツカーなので、軽自動車のトランスミッションとしては一般的なCVTだけでなく6MTも設定されています。歴代の様々な軽自動車にMTモデルは存在していますが、「6速MT」を採用した軽自動車はS660が初めてです。非力なエンジンパワーを活用するためにワイドレンジ&クロスレシオの6MTを搭載したのだとか。

ちなみにCVTも単なるCVTではなく、スポーツモードへ切り替えることができる「7速パドルシフト付CVT」となっています。そのため、6MTと同じようなスポーツ走行が可能というわけではないものの、CVTでも十分にスポーツカーらしい走りを堪能することが可能です。

サスペンション

ドクトル・ロウソンさんのS660の画像
ドクトル・ロウソンさんのS660の画像

S660のサスペンションは前後マクファーソン式となっています。厳密にはフロントにマクファーソンストラット式、リアにデュアルリンクストラット式です。軽自動車はリアにトーションビーム式を採用することが一般的ですが、デュアルリンクストラット式を採用したおかげで高い操作性と直進安定性を実現しています。

ボディサイズ・車両重量

ボディサイズに関しては、全高が極端に低く設定されていること以外はほかの軽自動車と変わりありません。全高1180mmという数値は、現在販売されている軽自動車の中で最も低い数値です。全高を極端に低く設定することで、軽自動車でありながらロー&ワイドなスタイリングを実現しています。

軽自動車ながらスタイリッシュなデザインを採用した点はお見事ですが、車両重量は830~850kgと軽スポーツカーとしては重たい部類です。ホンダもS660の徹底的な軽量化を 測っていますが、やはりオープンボディでしっかりとした剛性を確保する代わりに車両重量が大きくなってしまうことは仕方ないのかもしれません。

車両重量の大きさは気になるものの、全体的には優れた魅力が多数備わっている本格的なスポーツカーであることに間違いはありません。S660は軽自動車にして、現在新車で購入できる国産スポーツカーの中でもトップクラスの魅力が備わった車種です。

グレード・価格

chibi660さんのS660の画像
chibi660さんのS660の画像

S660にはメインとなるグレードが2種類設定されています。そのほかにも、メーカー純正カスタムモデルや特別仕様車がラインナップされているようです。軽自動車としては幅広い価格帯となっているS660のグレード別価格をチェックしてみましょう。

グレード新車価格(税込)
α2,185,920円
β1,980,720円
α特別仕様車トラッドレザーエディション2,275,560円
S660 Modulo X2,850,120円

S660のメイングレードは「α」と「β」の2種類。「β」はS660の中で唯一新車価格200万円以下で購入することができるベースグレードです。「α」は「β」よりも安全装備や快適装備を充実させた量販グレードとなっています。

運動性能に大きな違いはなく、走りを重視して購入するのであればリーズナブルな価格を実現している「β」を購入した方が良いでしょう。ただし、ある程度の快適性や特別感も必要だと考えている人は「α」を購入すべきだと思います。

S660にメーカー純正カスタムモデルや特別仕様車が設定されていることはお伝えしました。「α特別仕様車トラッドレザーエディション」はその名の通り特別仕様車にあたります。量販グレードの「α」をベースにゴージャスなインテリアと安全装備を追加したグレードです。

そしてメーカー純正カスタムモデルとして販売されているのが「Modulo X」。「Modulo X」は「α」をベースに、S660が持つ運動性能を最大限に引き出し、なおかついい意味で軽自動車らしくない上質感を実現している最上級グレードとなっています。

そのため、ほかのグレードには採用されていないワイド感のあるスポーティーなスタイリングを採用。ボルドーレッドでアレンジされたインテリアは、シートに座ったとたんドライバーの気持ちを高ぶらせてくれるでしょう。

S660のエンジンって物足りない?

taku@Zeyoo' sさんのS660JW5の画像
taku@Zeyoo' sさんのS660JW5の画像

S660が搭載しているエンジンは上記でもお伝えしたように、Nシリーズと同じS07A型エンジンに独自のターボチャージャーを組み合わせたものを搭載しています。最高出力64馬力、最大トルク10.6 kgmという軽自動車にしてはパワフルな動力性能を実現していますが、スポーツカー好きにとっては物足りないと感じることが多いようです。

S660のエンジン出力に関しては、軽自動車の馬力自主規制がある以上仕方がありません。それは仕方ないとしても、S660のエンジンにはひとつ気になる部分があります。S660のレッドゾーンは7,700rpm(CVT車は7,000rpm)となっています。

一般的な軽自動車のターボエンジンでありながら、7,700rpmも回るというのはスポーツカーの開発を得意とするホンダらしさ感じますが、話によると5,000rpm以上はトルクが発生せずただ回っているだけのエンジン特性なのだとか。

そのため、せっかくレッドゾーンが7,700rpmに設定されているのにエンジンを回しても旨味が一切感じられないという声があります。実際にそのように感じている人は少なくないようです。

せっかく本格的なスポーツカーとして仕上がっているにもかかわらず、肝心のエンジンにそのような欠点があってはなんだかもったいないような気がしてしまいます。もちろん人によってはS660のエンジン特性が気にならないという人もいるでしょう。

しかし、大勢の人がS660のエンジン特性を欠点としてあげている以上、購入する際は実際に試乗してみることが大切だと思います。どうにかしてS660のエンジン特性を改善することができないのかと考えている人もいるでしょう。

実は、S660のエンジン特性を改善することは不可能ではありません。S660のエンジンはチューニングによる伸びしろがないといわれていましたが、数々の車種のチューニングを手がけている「HKS」がエンジン特性の欠点を克服することに成功しています。

S660はパワーアップできる!

引用元:www.hks-power.co.jp

「5,000rpm以上は惰性で回っているだけ」というスポーツカーとしては致命的な欠点を抱えたS660。HKSはそんなS660のエンジンをチューニングによって克服しました。HKSのチューニングによってS660はさらに本格的なスポーツカーへと変貌を遂げます。

S660をもっと楽しくするチューニングパーツが「S660 GT 100 R パッケージ」です。「S660 GT 100 R パッケージ」を搭載することで、S660はS07A型エンジン本来のポテンシャルを発揮できるようになりました。

5,000rpm以上はトルクが発生しないというエンジン特性をしっかりと改善し、レブリミット7,000rpmという高回転までしっかりと吹け上がります。S660の純正ターボは、ブーストアップによって約80馬力の最高出力を達成することができますが、背圧吸気温度が高くなりすぎてしまうというデメリットもあるのです。

ところが「S660 GT 100 R パッケージ」を装着することにより、背圧吸気温度が高くなりすぎることはありません。それどころか、ターボの効率の良いポイントを使って最大100馬力を発生させることができるようになります。「S660 GT 100 R パッケージ」の価格は259,200円と意外にもリーズナブルな価格から購入することが可能です。

まとめ

サトゥーさんのS660の画像
サトゥーさんのS660の画像

今回はS660のエンジン性能について紹介しました。S660が魅力的なスポーツカーということに変わりはないのですが、実用車のエンジンを搭載したことで致命的な欠点も存在します。ところが、そんな欠点もチューニングによって克服できるということが判明しました。

それにしてもS660で100馬力を達成することができるのは本当に夢のような話ですよね。S660を所有していて、パワーが物足りないと感じている人やもっと過激な走りをしたいという人はぜひ「S660 GT 100 R パッケージ」を装着してみてください。

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