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MR2のAW誕生話・AW11・AWに関するカスタム事例

MR2のAW誕生話・AW11・AWに関するカスタム事例

2022年05月23日 11時29分

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えーだぶトヨタ MR2

宜しくお願いします。

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全国11億人のMR2ファンの皆様、こんにちは😃

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モテモテのルプラン号😁

さて、AW開発秘話の続きです。👍

 1981年、先行試作車・730Bの完成。同8月、量産試作車両879Bが開発開始。生産はセントラル自動車で行われることも、この時に決定された。

 あくまでもプロトタイプ、あくまでもコンセプトカーとして製作された730Bと違い、量産と販売を前提とした879B。個々の点において、吉田が理想とした形からは変更を余儀なくされたものの、4A-Gという新たな動力ユニットを得て、日本初となるミッドシップ車・初代MR2・AW10/11型の設計・開発がスタートしたのである。

 通常、新型車両の開発において、駆動系の初期のテストベッドとしては新規にボディを製作して実験・開発が行われるのではなく、現行または過去に生産された車種のボディを切断ないし溶接し、時にはボディを切り詰め、時には鉄板を継ぎ足しボディを拡幅して、テストカーが製作されることになる。

 730Bは熟練職人のハンドメイドによって特別に製作されたボディを所持していたが、量産車のテストカーにおいては、通例通りに既存の車種のボディが流用されることになった。そして、MR2のテストカーとして用いられたのは、セリカであった。

セリカのボディを切断、ホイールベースを切り詰めて再び溶接して作られた実験車両。これを用いて、MR2の開発テストが始まった。

 これのテストドライバーを務めたのは成瀬弘。1963年、二十歳の年にトヨタ自動車工業に臨時工として入社した成瀬はメカニックとしてモータースポーツの現場においてトヨタ7やトヨタ2000GTといった名車に携わった叩き上げの技術者であった。1970年代には富士グランチャンにおいて、黒沢元治のチームにおいても経験を積み、黒沢の薫陶も受けた人物であった。そして、成瀬のドライビングテクニックは、数百人に及ぶトヨタのテストドライバーの中でも頂点に位置するものであった。

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 だが、そんな成瀬のテクニックを以ってしても、テストカーはまっすぐ走ることすらままならなかった。初テストの際、テストカーから降りるなり成瀬はこう叫んだという。

「俺を殺す気かッ!」

 以降、MR2の開発テストにおける、MR2の味付けの最終的な決定は成瀬に一任されることとなる。これが、後々にまで続くトヨタのマスタードライバー制度の始まりであった。

~MR2の駆動系~

 MR2のエンジンとして選定されたのは、言うまでもなく4A-Gである。4A-Gは元々、トヨタのSOHC8バルブエンジンである3A-Uをベースとして、ヤマハからの供与されたテクノロジーを投入して製作されたものである。

また、世界的に駆動方式がFF化してゆく中において、エンジン横置き型FF車に搭載されることを前提として作られたエンジンでもあった。

 4Aエンジンはカローラ/スプリンター初のFFとなったAE80系において初搭載されることとなったが、量産の為の設備投資のコスト削減の一環として、AE80系カローラはFRとFFが混在するラインナップとなっており、4A-Gにも縦置き用の4A-GEUと横置き用の4A-GELUの二種類が存在する(後に横置きを表すLの記号は廃止される)。

 1983年5月にカローラ/スプリンターのスポーティクーペモデルであるAE86型レビン/トレノに搭載されてデビューを果たした4A-Gであるが、これはもちろんFRレイアウトであり、FFのコンポーネンツを流用して製作されるMR2のベースとなったのはAE82型のカローラであった。

 横置き型の4A-Gに、ケースに小変更を加えたAE82型カローラのトランスアクスルを組み合わせる。これがMR2の基本的な駆動系の構成である。ただ、同じ4A-Gとは言っても、AE86型のものとは制御に若干の変更が加えられており、シャッター式吸気制御バルブの開閉装置であるT-VIS(Toyota Variable Induction System)において、シャッターを開いてフルに吸気を行うタイミングが、AE86では4650rpmだったのが、AW11では4350rpmとなっている。

 また、ミッドシップは熱に弱いとされる為、オーバーヒートへの対策が何重にも講じられており、フロントに設置されたラジエーターは水温によって三段階に電動ファンを稼動させると共に、リアのエンジンルームとフロントのラジエーターをつなぐ長大なパイプを満たす大量のクーラントもまた、熱対策に大きく貢献している。

 さらに、オートマチック車においては水冷式のエンジンオイルクーラーと、オートマチックフルードのオイルクーラーも備えられている。

 エンジンルーム内の冷却においても、ボディサイドの最も空気の流速が速くなる場所にエアインテークを設置。エンジンルームの温度が75℃を超えると電動クーリングファンを稼動させて補器類を冷却、71℃以下になるとファンが停止するように作られた。なお、この電動ファンは1500ccの3A-Uを搭載するグレードSには装着されていない。耐熱テストは、世界最高の灼熱舗装路とされるアメリカはカリフォルニア・デスバレーでも行われた。

 エンジンのスペックとしては、電子制御燃料噴射装置を採用した4A-Gが最高出力130ps/6600rpm、最大軸トルクが15.2kg/5200rpm。キャブレターを採用する3A-Uが、83ps/5600rpm、12.0kg/3600rpmとなっている。

 トランスミッションは、2本のワイヤーによって制御するプッシュ・プルケーブル機構。ギア比は3A-U仕様の1速が若干のローギアードとなっている他は、2速~5速・リバースが共通となっている。なお、クラッチの取付荷重は3A-U仕様で350kg、4A-G仕様が450kg。ターンオーバー機構を採用し、クラッチ踏力を低減させている。このターンオーバー機構は、後継のSW20型においてはターボ仕様には一貫して採用されていたものの、自然吸気仕様においては割愛され、NAにおけるターンオーバー機構の復活は、通称Ⅴ型NAの登場を待つことになる。

 これらの駆動系によって、AW11型MR2は非常に軽快で俊敏なエンジンフィールを獲得し、谷田部高速テストコースにおけるテストでは、夜間ウェットコンディションながらも、黒澤元治のドライブによって時速187.98kmと、AE86型を上回る最高速度をマークすることとなる。

~MR2のサスペンション~

 MR2というクルマの特性を決定する上で、世界中から多種多様なスポーツカーが集められ、比較テストや研究が行われた。MR2というクルマの直接のヒントとなったとされるフィアットX1/9はもちろんのこと、X1/9の上級モデルとなるはずだったランチア初のMR、ランチア・ベータ・モンテカルロ。

 同じく1600ccのエンジンを搭載するミッドシップ、フランスのタルボ・マトラ・ムレーナ。イギリスの老舗であり、トヨタと提携関係にあったロータスからはエスプリ。そして高性能リアエンジン車の代表格であるポルシェ911、そして世界最高のFRハンドリングマシンとされるポルシェ944や924。FF車のコンポーネンツを流用して安価に製作されたミッドシップの原典とも言える914……

 中でも、MR2が超えるべき存在として注目されたのはタルボ・マトラ・ムレーナであった。

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 まだ日本にはミッドシップ車を市販した例がなく、MR2をどのような味付けのクルマにするかについては様々な意見があった。だが、MR2はあくまでもスポーティなパーソナルクーペであるべきであり、乗り手を選ぶようなハードなスポーツカーであってはならないとの結論により、マイルドな操縦特性が与えられることとなる。

 とは言えど、ミッドシップならではの敏捷性を失わせてしまうわけにはいかず、また、欧州では200km/hでの領域での直進安定性の確保が絶対条件でもあった。コーナリング性能と高速直進安定性の両立。どんなスポーツカーにおいてもそうであるが、特にMR2のようなフロントライト・リアヘビーのミッドシップにおいては、それが最も難しいテーマであった。

 さらに、リアにエンジンという重量物を積むミッドシップは、リアタイヤへの接地荷重が大きくなって限界が高くなる代わりに、どうしても限界を超えた際のリア挙動が唐突に激しいものとなってしまう。これもまた、MR2のサスペンション開発における大きな問題点でもあった。そして、これらにおいて、タルボ・マトラ・ムレーナの持つ操縦安定性を超えることが絶対条件となったのである。

 ムレーナはフロントにダブルウィッシュボーン、リアにセミトレーリングアーム式サスペンションを採用していたが、MR2においては4輪ともマクファーソン・ストラットが採用されることとなる。

 スタビライザーはフロントのみに装着される(後にADパッケージでリアスタビライザーが装着)。また、サスが上下にストロークしてもアーム類の働きが、トーの変化がほとんど発生せず、挙動を安定させる設計が施される。

 キャスターは5度20分、トレールは18mmのハイキャスター・ショートトレール。キャスター角を大きく取ることによって高速での直進安定性を確保を図る。リアサスペンションにおいては、発進時にリアの沈み込みを抑えるようなジオメトリーが取られ、トーインは強めの-4mm、キャンバーも-50分のネガティブとされる。完成後も、AW型はアライメントにおいて非常に柔軟な調整を行える余地が残されている(逆に後継のSW20型では基本的にトーのみしか調整できない)。

 高速安定性とコーナリングの俊敏さ、快適性と限界時のドライバビリティ……これらの相反する要素を高い次元で同時に実現するにはリアサスペンションのセッティングが非常に重要であったと言う。ブレーキにおいても、フロントブレーキはコストカットの意味もあってカムリ/ビスタからの流用となっているが、リアブレーキはMR2用に新設計のものが奢られた。

 ……はじめは真っ直ぐ走ることすら不可能だったMR2。そんなじゃじゃ馬を、「一般公道で普通に走れるように仕上げるのは本当に大変だった。自分が今まで関わって来た車両で、一番苦労したのはMR2」と晩年の成瀬は語る。

 そして遂には「楽しく安全なクルマに仕上がった」と開発スタッフが自信を持って答えられるまでにMR2は煮詰められていった……

続く〜〜〜

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