マーチの日産マーチ・マーチターボ・K10マーチ・MA10ET・エンジン解説に関するカスタム事例
2021年06月11日 17時48分
2021年6月11日投稿。
ダブルチャージクラブオリジナル記事再録、
日産K10マーチターボ・MA10ET型エンジンについて
日産自動車が生産していた
日産・マーチK10型に搭載されていたエンジンの一つ。
日産・MA10S型をベースに専用の
新開発小型水冷式のターボチャージャーを採用し、
高出力化を図ると共に、日産・ECCSを採用、運転性、
性能向上を図ったエンジンである。性能では、標準車に搭載している
MA10S(987㏄)ECCの圧縮比、9.5に対して
8.0に変更、MA10Sの出力57PSからMA10ETは85PS
(※グロス値)と性能を高めている。
搭載初当時、リッターカーとしとしては
初のコンパクトターボ搭載、電子制御インジェクションであった。
改良変更を加えながらK10中期型~後期型まで使用、
搭載車両は日産・マーチターボ1型(前期型)と
1型のマイナーチェンジ型(A-2)と2型(後期型)、日産・フィガロがある。
*エンジン種類/スペック
昭和60年2月
日産・マーチターボ1型搭載時、
エンジン形式打刻番号、
E-K10、MA10E・T・・・MA10-307828A~。
形式、MA10ET型
総排気量(cc) : 987
燃焼室形状、:半球型
種類、シリンダー数 : 水冷直列4気筒OHC
シリンダー(内径×行程mm) : 68・0×68.0
圧縮比 : 8.0
圧縮圧力(㎏/c㎡)(rpm):11.2/350
最高出力(PS/rpm) : 85/6000
最大トルク(Kgm/rpm) : 12.0/4400
燃料消費率(g/ps.h)(rpm):215/2000
寸法、(長さ×幅×高さ):638×575×636
整備重量(㎏)87(AT車、85)
弁開閉時期、
*吸気開[上死点前](度)3
*吸気閉[下死点後](度)45
*排気開[下死点前](度)51
*排気閉[上死点後](度)-3
弁すき間、
*吸気[温間](㎜)0.25
*排気[温間](㎜)0.30
アイドル回転数(rpm)750(AT車、850)
アイドルHC濃度(ppm)整備目標値:0.1/50以下
使用エンジンオイル(工場出荷時)10W-30
「ターボ車専用」、API=SF級
オイルパン容量、[Hレベル](ℓ;)3.0
オイルフィルター容量、(ℓ;)0.2
冷却水容量、(ℓ;)約4
燃料供給装置 : ニッサンECCS
始動補助装置:バイメタル式エアレギュレーター
吸気加熱方式:温水加熱方式
点火装置:無接点式
Noⅹ低減装置、
*EGR装置:排圧式
*TVバルブ作動温度:60(白)
Co、HC、Noⅹ低減装置、
*触媒種類:三元(モノリス)
*触媒コンバーター(容量ℓ;)直付(0.5)
減速時排気ガス減少装置、
*フェールカット装置、有り
空燃比制御装置:空燃比フィードバック
排気温度警報装置(設定温度℃):熱電対(940)
燃料(エボパ)ガス抑止装置:キャニスター式
ブローバイガス還元装置:クローズド式
バッテリー形式/容量(V-Ah) :
*標準、28B17L /12-30 *寒冷地、NS60L/12-45
使用燃料・タンク容量(ℓ;) : 無鉛レギュラー・40
*エンジン本体(MA10Sからの相違点)。
*シリンダーブロック
シリンダーライナーの材質をMA10SのCX53(鋳鉄+53)に
対し、MA10ETでは、CLO9(鋳鉄)に変更、強化した。
ブロック、ライナーの識別はプラス浮文字で判別。
シリンダーヘッド及びガスケットの変更点は、
吸気ポートをストレートにして、充填効率向上を図り、
燃焼室容積を増加、(19.5→25.5CCへ)
圧縮比を変更した。
シリンダーヘッドガスケットは、
各気筒毎の独立グロメットとし、
更にグロメット内にシムを入れて
強化を図った。サイズは板厚が1.1、
材質はグラフォイル
(黒鉛綿)のシム入りである。
*ピストン及びピストンピン。
ターボ化に伴う、燃焼圧力、温度上昇に伴い、
ピストンの強度向上を図った。
セカンドランド幅t(㎜)3.0、サーマルスリットは無し、
ピストンピン給油溝はあり。材質はAC8A-T7。
なおピストンリング、ピストンピンは
MA10Sと同一部品である。
*コンロッドAssy及びコンロッドベアリング
コンロッドの強度(I断面形状、鍛造化)及び
コンロッドベアリング(A17X)の許容面圧を向上した。
*クランクシャフトは全クランクピンに
フィレットロール加工を行い強度向上を図った。
*クランクプーリーは、トーショナルダンパー付とし、
クランクシャフトの捩り振動を低減させた。
*フライホイールはクラッチサイズ増大5.1㎏に伴い、
形状変更した。(クラッチ込みの慣性質量はMA10Sと同じ)
なおドライブプレートはMA10Sと同じである。
*オイルパン及びレベルゲージ、
ターボチャージャー化に伴い、TCの潤滑油用リターン
チューを追加、シリンダーブロックとのシール面には、
従来、用いていた成形ガスケットを廃止、
液体ガスケット(FIPG)「スリーボンド1207D」を新に
採用しシーリング性向上を図った。
オイルレベルゲージもMA10Sの長さサイズ、
161.5㎜から、191㎜に変更した。
*ベルト類はポリVローメンテナンスベルト
(ファンまたベルト及びオルタネーター、ポリV3PK型)
(エアコンベルト、ポリV4PK型)を採用。
(MА10Sは従来通り、普通タイプのVベルト。)
熱伸縮性のコードを使用し、万一、スリップが発生した
場合、発熱によりコードを伸縮、張力の回復をする。
また、特徴としてベルトの曲げに対して耐屈曲疲労性が
優れ、寿命が長く、
伝導損失が少ないという特性がある。
◆動弁機構
*カムシャフト
オーバーラップ量を小さくし、アイドル安定性及び
低速トルクの向上を図った。
サイズ関係は
作動角INがMА10Sの58°に対して57°、
リフト量(mm)は共通で8.4、
中心角はMA10SがIN/EXH、21°/27°に対し、19°/25°、
オーバーラップはMA10Sが8°に対し、0°である。
*オイルフィルターはMA10S三元触媒と共通である。
*エンジンオイルは、工場充填時に、
ニッサンモーターオイルターボ(10W-30、SF級)を採用。
◆吸排気系
*エアークリーナー/エアーダクト
吸入空気の流れは、外気導入ダクトから
エアクリーナーへエアフローメーターから
エアーダクトホースを介し、
レゾネーターエアーダクトホースより
ターボチャージャーへ として、通気抵抗、騒音の
低減を図った。
インテークマニホールド及びコレクターは、ポートを
低速トルクの向上の為に長くし、2分割構造を取り、
整備性向上を目指した。
エキゾーストマニホールドは材質強化と
出口をデュアル形状としT/Cの効率を図った。
*日立製の小型ターボチャージャー(HT07)を採用、
冷却性能向上を図る為、センターハウジング部に
冷却水路を設けた。
設定過給圧(mmHg)、インテークマニホールド内圧力は
約400である。
◆*水冷式ターボチャージャーの採用
センターハウジング(軸受部)のラジアルメタルの周囲に
水通路を設け、冷却水を通し、メタル及びオイルの
温度を下げ、オイルに対する熱負荷を軽減、オイルの
耐劣化性の向上を図った。
(冷却水供給はコレクター水水路から冷却水戻りは
ウォーターイントレットへと流れる。)
*インテークリリーフバルブは、
スイングバルブ等が作動不良を起こした時、
インテークマニフォールド内の異常圧力上昇を防止する
安全装置で取り付け位置は、インテークマニフォールド
コレクターとし、作動圧は約510 mm Hgとした。
*ターボチャージャーからスロットルチャンバー間を
エアイントレットチューブ及び、ホースで結び、
イントレットチューブの表面はシルバーメタリックで
塗装し、美観向上を図った。
*エキゾーストマニホールドから、ターボチャージャー間は
金属製のOリング、ターボチャージャーからアウトレット間
はガスケット(メタル装置を採用した。
*ECCS(エンジン集中電子制御システム)系統の採用。
燃料噴射装置、点火装置、アイドル回転数補正装置などを
1つのコントロールユニットで制御するECCSを採用し、
エンジンの最適制御による、高出力、低燃費化を図った。
このコントロールユニットはフェールポンプ駆動制御、
自己診断機能も持っている。
*特徴
燃料噴射制御は、三元触媒の性能を効率よく発揮
させる為、O2センサーを用いた空燃比フィードバックシステムを採用。
MA10ETでは、全気筒噴射に加えて、
シーケンシャルインジェクション(気筒別噴射)も採用した。
点火時期制御はエンジン状態に適した点火時期信号を
コントロールユニットからイグニッションコイルに送り、
点火時期及び、通電時間を制御する。
アイドル回転数補正制御はソレノイド式
アイドルコントロールユニットバルブを採用し、
アイドル回転数の安定化を図る。
自己診断機能は点火信号、各種センサー類などの
正常又は、異常をコントロールユニット自身で診断し、
異常を知らせる自己診断機能を採用した。
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昭和62年8月
K10型マーチの※(JIS)グロス値~ネットNET値へと変換
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-日産・マーチターボ2型/日産・フィガロ搭載時、
変更点はタイミングベルトの歯型変更など 。
形式、MA10ET型
種類・シリンダー数、OHC水冷直列4気筒
シリンダー(内径×行程)(mm)、68.0×68.0
総排気量(cc)、987
圧縮比、8.0
最高出力(PS/rpm)、76/6000
最大トルク(kgm/rpm)、10.8/4400
燃料供給装置、ニッサンECCS
使用燃料・タンク容量(ℓ;)、無鉛レギュラーガソリン・40
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原文編集/
ダブルチャージクラブ@首謀者
ek-10stとやま/ek-10stToyama
投稿2007年1月22日/
生前分与のためウィキペディアに投稿済み。GFDLOK