MR2のAW誕生話・AW11・AW・ニュルブルクリンクに関するカスタム事例|車のカスタム情報はCARTUNE
MR2のAW誕生話・AW11・AW・ニュルブルクリンクに関するカスタム事例

MR2のAW誕生話・AW11・AW・ニュルブルクリンクに関するカスタム事例

2022年06月02日 20時42分

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えーだぶトヨタ MR2

宜しくお願いします。

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全国11億人のMR2ファンの皆様、こんばんは😃

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MR2開発話、続き〜👍

 インテリアのデザインにおいては、二つのコンセプト案が検討される。一つはミッドシップという「まぎれもないスポーツカー」ならではの、本格的な走りに充分対応できるインテリア。そしてもう一つは、トヨタが古くから現代に至るまで貫いてきた、誰が乗っても違和感なく、すぐなじめるようなデザイン。

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 メーターをセンターに配置し、その左右にスイッチ類を配したクラスター。他に類を見ない個性的なスタイルでありながらも、できるだけ低く配置することによって前方の視認性を確保するのみならず、運転席側と助手席側において、ダッシュボードの蓋とステアリング周りをそっくり入れ替えるだけで輸出用に対応できるという量産性も確立させることに成功した。なお、ステアリングホイールは、レビン/トレノ用と同じものである。

 また、インテリアの設計において大きな議題となったのはヒップポイント……つまりシートの着座位置であった。

 ミッドシップと言えば、スーパーカーにのみ許されてきたレイアウト。ならばMR2もまた、スーパーカーを喚起させるような、低い低いシートとするべきではないのか。だが、シート位置を低くすれば、当然のことながら、ユーティリティにおいて不便が生じることになる。

 トヨタの東富士研究所内の、人間工学を専門とする実験部においても基礎実験が行われた。また、メインマーケットとなる北米市場において、大柄な人間が乗ることもまた前提として検証される。設計人は大いに悩んだというが、MR2は、幅広い層をターゲットとしたクルマであるということから、シート位置は高めに作られることとなる。

 その結果、乗降性はもちろん、前方の視界等は非常に良好なものとなり、特筆すべきは室内の居住性においても白人男性もが驚くほどの、フィアットX1/9などと比べて大変ゆったりとしたスペースを実現するに至った。

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 日本で初めてとなるミッドシップ開発。その為には、実験部のテスト要員だけではなく、設計担当やデザイン担当の人間もが、ミッドシップというものを身体で感じていなければ、本当のミッドシップの性能を引き出すことはできない、吉田はそう考えたという。吉田は元々、実験畑の出身である。そこで、MR2の開発においては、それまでのトヨタでは考えられたなかったような開発テストが数多く行われた。

 開発が、かなり進んだ真夏。開発スタッフが全員、東富士のテストコースに集められる。その目的は、ミッドシップの限界時の走行特性を皆が実際に体験するということであった。その中には、主査の吉田自身もが含まれていた。

 教官を務めるのは、レーサー出身の実験部員である細谷四方洋(ほそやしほみ)。古くは1963年の第一回日本グランプリにプライベーターとしてフルノーマルのパブリカで出場し、第三位。第二回ではトヨタと契約し、ワークスのパブリカで第二位。1967年には富士24時間にて、トヨタ2000GTをドライブし優勝。1968年の鈴鹿12時間では、トヨタ初のプロトタイプレーシング・トヨタ7で優勝……などと、多くの輝かしい戦歴を持つ大ベテランであった。

 日本車揺籃の頃より、常にトヨタのレースとスポーツカーの中核にあった細谷の指導の元、MR2のテスト車両を用いて、パイロンスラロームや、ダートコースのフルパワー走行。片輪だけを低ミュー路に乗せてのスピン、水の撒かれた旋回パッドでの定常円旋回、横風ダクトを使って外乱を与えるなどの、多くの激しい実体験テストが、夏休みを返上して延べ50時間以上にも渡って行われたという。

 単に設計や、走行性能のブラッシュアップの為だけではない。訓練されていない一般のドライバーならば、クルマが限界を超えた際にどのような操作で対応してしまうのか、果たして対応できるのか。それもまた、実験によって考察されたのである。

 また、この中でMR2の設計に影響を及ぼしたポイントも少なくない。例えばペダルの配置とドライビングのポジション。コンパクトなデザインと、回頭性を重視したタイヤハウスの設計のために、開発なかばまでペダルは現在よりももっとセンターよりに配置され、ドライバーもまた、若干内側に身体を傾けるような形で着座姿勢を取ることを強いられていた。

 これについて、実験部はどうしてもそれを良しとせず、実験部自ら溶接位置やペダル位置を工夫してペダル周りを試作。ステアリングとドライバーが正対できるコックピットを作り上げる。

 メーターパネル周辺のスイッチ類などの細かな形状もそうである。ウィンカーやワイパー、ヘッドライトのスイッチはウィング状のものが設置されていたが、実際に乗ってみるとエアコンの風がウィングで遮られてドライバーに上手く当たらないことが分かった。

 デザイナーは自身のデザイン案をなかなか譲らなかったが、実際に自身がMR2のコックピットに乗ってみて、エアコンへの悪影響を実感。ウィングを削るのではなく、形状に膨らみをつける他、エアコン吹き出し口を少しせり出させるなどとして、解決することにいたった。

 MR2における乗り味の最終決定権を一任されたテストドライバーの成瀬弘も、ミッドシップに少しでも習熟するため、日曜を返上して三河の山々を走り込んだ。

 開発テストは日本国内に留まらず、世界各国で行われる。耐熱テストでは、北米のカリフォルニア。当時はまだほとんどなかった欧州へ渡ってのテストも行われ、トヨタの開発拠点があったベルギーはもちろん、自動車の本場であるドイツのアウトバーンでの超高速テスト。その険しさを響かせるラインバッハの峠での限界走行。そして、「緑の地獄」と呼ばれたニュルブルクリンクサーキット・ノルドシュトライフェ……

 ニュルブルクリンク。そのオールドコースとも呼ばれる北コース=「ノルドシュトライフェ」。全長20km以上。170にも及ぶコーナー、そのほとんどがブラインド。高低差は300メートル、路面のアップダウン、荒れとうねりは世界最高。

 ジャンピングスポットを飛んでからのコーナー進入。石畳が敷かれた強バンクコーナー・カルッセル、非常に狭いエスケープゾーンなど世界に例を見ないコースレイアウトを有している。

 コースの中に3つの街があると言う、巨大なサーキット。その発祥は1927年(日本歴では昭和2年)。世界恐慌直前の時代、村興しや雇用対策の一環として建設が開始され、作業員も失業者を集めて行われたと言う。

 当時は現代のような重機もなく、全て手作業で建設が行われた。舗装の下には1m四方の天然石が基盤として埋め込まれており、その不揃いの基盤は凄まじいまでに路面の凹凸=アンジュレーションを引き起こし、そこを走るマシンには始終異なる「入力」がもたらされる。

 「1m走ると路面が違う」「右と左のタイヤで路面が違う」。ニュルを走ることでマシンの受ける負荷は想像を絶するものであり、その一周は通常走行の2000kmにも相当すると言う。完走するには非常に強い剛性と耐久性が要求され、並のクルマならば一周する間もなくバラバラに分解してしまうとまで言われている。実際、80年代末、ホンダがレジェンドでテスト走行を行った際には、ボディの剛性が足りず、走行中にウィンドウが大きな音を立てて枠から外れてしまったと言う。

 今でこそ新車の開発テストの聖地とされるニュル・オールドコースであったが、当時はまだ知る者もほとんどおらず、自動車の開発テストも、ドイツのメーカーが行っている程度だった。

 ニュルブルクリンクにおけるMR2の開発テスト。これがトヨタ初のニュルテストであり、そして同時に日本車としても初めての新車開発テストでもあった。(なお、これよりも早くにホンダが第一期のF1で走ってはいるが、NSXの開発において黒澤元治が提言するまで、長らくホンダが再びニュルを走ることはなかった)

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*写真は現在のニュルブルクリンク

 一日貸切で行われたニュルのテスト結果は――「全く歯が立たなかった」と成瀬は語る。その洗礼の跡は、MR2のストラット周りの異様なまでの生々しいスポット溶接の点数の多さとして確認できる。それから20年の後、成瀬は世界で最もニュルブルクリンクを走り込んだ男=「マイスター・オブ・ニュルブルクリンク」として世界中から尊敬の念を持って呼ばれることとなる。

 これらのテストの中では、トヨタ以外からも顧問を招聘されることとなる。その中に、ミッドシップの大家であるロータスの存在があったという。ロータスから実験部長とテストドライバーが派遣され、MR2への意見を出して貰うこととなった。

 ロータスのテストドライバーは、元F1レーサーでもあったダン=ガーニー。ガーニーは「4A-Gが泣く、もっとやろう」と、MR2の限界をさらに追求するよう述べたが、最終的にはロータス側から「トヨタの看板の元で、従来のトヨタの顧客を相手に売るのなら、機動性はそこそこに留めた方がよい」との意見があり、MR2の味付けは比較的マイルドなものに最終決定がなされる。

 走行テストの中で、リアタイヤをもっと太くして前後で異なるサイズを履かせれば、もっと操縦安定性が向上することも分かり、吉田はオプション扱いであってもそれを実現しようとしたが、「リプレイスタイヤの面で販売に響くから困る」との販売側の意見もあり、前後異サイズのタイヤは廃案となる。MR2が前後で異なるサイズを実現するのはフルモデルチェンジを遂げる1989年のSW20型を待つこととなる。

 豊田英二に代わり、トヨタ社長となったばかりの豊田章一郎も自らステアリングを握ったという。豊田章一郎は副社長時代、まだトヨタ社内にFRでなければならないという風潮の強かった頃、カローラ主査の揚妻文夫の熱心な説得を聞き入れ、カローラのFF化を後押ししたことがあり、それが4A-GユニットとMR2の開発へと繋がったのである。

 「なかなか走るじゃないか。これは思ったより全然いいぞ」

 第一声、章一郎はそう述べたという。「すごくうれしかった」、吉田は後年、そう述懐する。

そして、MR2は遂に完成する。

さらに、さらに、続く〜😃

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*成瀬弘氏

初代「MR2」から"ニュル詣”をスタート

成瀬氏は、1963年にトヨタ自動車に入社。車両検査部に臨時工……と異例の採用だったが、幼い頃からクルマに触れてきたこともあり、類いまれな速さで頭角を現し、モータースポーツの車両開発やレース活動を担う「第七技術部」に所属、レーシングカー「トヨタ7」のチーフメカニックを担当する。

トヨタが1974年にレース活動を中止する直前の1973年、スイスのトヨタディーラーが「セリカ1600GT」で耐久レースに参戦する際に、日本側からのメカニックとして渡欧。この時、生涯を掛けて走り込むことになるニュルブルクリンクと出会う。ここで成瀬氏は「道がクルマをつくる」と直感したそうだ。

その後、1980年代に初代「MR2」の評価を担当したのを皮切りに、トヨタのニュルブルクリンクでの開発がスタート。以降、トヨタのスポーツモデルは“ニュル詣”を行うようになった。

2010年6月23日、自身の知見とノウハウをすべて注いで開発したスーパースポーツ「レクサスLFA」の50台限定スペシャルバージョン「ニュルブルクリンクパッケージ」のテスト中に、ドイツ・ニュルブルクリンク近くの公道にて交通事故で逝去。

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