コペンのノンフィクションです。・長いお話です。・オッサンの独り言・バトンに関するカスタム事例
2022年01月09日 13時38分
クルマ関連の仕事をして、いつしか好きでやってた板金塗装の仕事により、お客さんのクルマばかりやってたせいで、自身のクルマはそっちのけ。職種変えてから出会ったコペンが数十年ぶりの楽しみになりました。沢山のいいね!フォローありがとうございます。
アンビリーバボのお話。
ふと思い出した事をここに残します。
長文になります。軽くスルーして下さい。
さて。このお話は真実である事、自身感動というか今でも心に残るお話です。
今は亡き師匠の門を叩いた頃のお話です。
師匠はレストア専門の板金塗装を生業に、「食っていけるならそれで良いのさ。(笑)」という独りでコツコツとレストア作業しつつ、中古車販売店数社の軽板金(バンパータッチアップなど。)を1日数台こなしつつ、ドンガラの車両に手を汚してた。
僕はそんな師匠の門を叩き、
「ウチはコンビニバイトより安いよ。(笑)それでもって言うなら一緒にやるか。(笑)」
「よろしくおねがいします!」ってアタマさげて、採用後はひたすら師匠の仕事を後から盗み、とにかくメモしてた。(笑)
そんなある日。
小学生の兄弟2人が涙目でショップに来た。
兄:「すみませーん!(泣)すみませーん!(泣)」
うつむく弟と2人、乱雑にボディーパーツやドナー車両並ぶ遠くから。。
弟が両手で持ってる貯金箱と、必死で助けを求める兄。
師匠と自分2人のショップです。。下っ端の自分が対応。泣く弟の横で兄が工場ゲート外から叫ぶ。
「君達どうした?」
泣く弟と深刻な顔する兄、とりあえず事務所に。
事務所で冷蔵庫にある水出しの麦茶を茶碗で飲ませ落ち着かせた。
ちょうど師匠が塗装中のインターバルで事務所に。。
師匠:「なんだ?ムーの知り合いか?何故泣いてるんだ?」
僕:「いや、ゲート前で叫んでたもので。。」
事務所にあるソファー代わりのハイエースの汚いリヤシートに座る兄弟。
その横にマスクを外しインターバル時間の為、横目で時計を見る師匠。
兄弟、弟が手に持つ貯金箱をアルミホイール4本土台のガラステーブルに静かに置いた。
慌ただしく動くコンプレッサーが止まった時。
兄:「あの。。弟が。。自転車で家の横の駐車場のクルマぶつけて。。」
泣きそう兄。。
師匠:「それは大変だな。。(笑)でもえらいぞ!おい!ムー!クリアーコート頼むな。ネタは作ってあるから、後5分後にやっといてくれ。ぶつけたクルマ見てくる。」
兄弟を師匠の愛車ジムニーに乗せて現場に。。
数時間後に師匠が戻りました。
師匠:「ムー!バンパークリアーコート終わった?」
自分:「はい終わってますよ!確認おねがいします。」
師匠:「今からクルマ引き上げするから来い!」
車中、師匠から話を聞いた。兄弟は月極駐車場で弟に自転車の練習してて、黒塗りのマジェスタにぶつかり左フロントドアに擦りキズを付けてしまった。
泣く弟を宥めつつ、マジェスタオーナー宅に行き、詫びを入れつつ、クルマ半日預からせて下さいと。
オーナーさんは兄弟のご近所さん。
「しょうがないねぇ。。もうココで遊ぶなよ。」って了承頂き、クルマを引き取りました。
幸い自転車のブレーキレバーがヒットした5センチ程の凹みないキズ。
そこからは、師匠のキズ消しの作業。表面を軽くペーパーでさらいコンパウンドで磨き作業。
ただ立って作業をみてる兄弟に、師匠は「手伝ってもらう。〇〇弁当しってるだろ?弁当4つ頼んでであるからソレ取って来て。」
2000円渡し兄弟は弁当取りに走った。
師匠は黙々とマジェスタのドアにポリッシャー当てて作業。
遅いお昼を4人で食べた。
浮かない顔の兄弟。笑顔の師匠。「早く直さなきゃな。。沢山食え!(笑)」
夕方に作業終了。外内の洗車掃除を兄弟の手伝いで無事に。
マジェスタオーナーさんが、心配してショップにクルマ取りに来た。
オーナー:「キズはどこですか?凄く綺麗に。。」
師匠:「キズはしっかり直しました。洗車清掃作業も彼ら(兄弟)に手伝いさせて。。」
オーナー:「もう駐車場で遊ぶなよ。ありがとうな。凄く綺麗になってる。(笑)」
兄弟の母親が、数万円もってやってきた。(兄弟の報告から)
母親:「すみませんでした。。いくらですか?。」
師匠:「あっ!工賃はもう兄弟からもらいましたから大丈夫です!(笑)良いお子さんです。しっかり2人からお代は貰いましたから。😊」
母子家庭の兄弟。善悪しっかり教えた母親。幼いながら保証をした兄弟に、師匠は動いたんですよ。
師匠は、貯金箱から200円を貰い、しっかりと領収書を書いて兄弟に渡した。
師匠:「逃げずにココ来てありがとうな。」って。
そんな本当にあった事です。
そこから数年後。
問屋さんの新商品のプレゼンと、企業さんの講師会で。。
ムーさん。。ですよね?
あの泣きじゃくる弟を支えてた兄。。
兄:「僕はあれからクルマのボディーワークのキズが消える魔法に憧れて、給料安いですけど僕も。。あの時貰った200円の領収書は、僕の宝物です。😊」と財布から見せてもらった。
あの日師匠が受けた200円の作業。
師匠は、しっかりとバトンを渡してる。
誰かに渡しそびれてる感の自分。
改めて師匠の偉大さに。。