センチュリーの大排気量・絶滅危惧種・センチュリーの世界・V12に関するカスタム事例
2022年11月03日 14時48分
先代センチュリー(GZG50型)
元センチュリーオーナーとして、センチュリー好きとして、先代センチュリーについて書いてみようと思います。かなり長い文になります(^^;)
暇潰しにどうぞ(笑)
センチュリーって、どんな車?
仕事で乗る機会があったり、家族や知人が乗っているよ…という人以外、好きで買って乗らない限り、触れる機会どころか間近に見ることすら少ない車ですよね。
基本的に御偉いさん向けの車で、一番の顧客は宮内庁でしょう。基本的に一般向けの車ではありませんね。
その証拠にディーラーの店内カタログ棚にカタログは置いてありません。お客から見えない所に隠してあります。カバー付きの豪華なカタログです。
先代センチュリーには、市販された国産乗用車でおそらく最初で最後となる12気筒エンジンが搭載されていました。
官能性だとかパワーだとか、世間がよくイメージするV12らしさは味わえませんが、とにかく静かで滑らかに回り、精巧感や信頼性はピカイチだと私は思います。
やはり良いものは良いのだな…と、しみじみできる数少ない国産車です。
こんな車が国産モデルにあったんだ…なんだか誇らしさを持てる。そんな車でした(^^)
「晴れの儀式にもふさわしい車づくり」
一目でセンチュリーと分かる伝統のスタイル。水平を基調とした前後対称の造形は、平等院や富士山、日本刀をモチーフにした「和の姿」そのものです。
寺社仏閣や城など、日本に昔から存在する建築物に秘められた美しさの黄金比を手本にしてサイドウィンドウガラスの寸法や角度、色や質感は決められています。
外観の造形も全ては後席に座る人物のために。後席「尊重」(^^)
熟練工によって入念に仕上げられた外板の塗装はまるで鏡のようで、歪みなく風景や建物の姿を写しとります。
太いCピラーの表面を姿見として使うこともできます。後席から降りてネクタイなど身嗜みを軽く整えたり…
ルーフ両サイドはモールによってルーフ面より少し高くなっており、窓枠も上部は溝が設けられて雨天時には雨樋の役割を果たします。
乗降時にルーフを伝う雨水が乗客に掛かるようなことがあってはならない。フォーマルサルーンとしての細やかな気遣いです。
内装は応接室のようです。よく計算された庭園のような奥行きと温もりを感じることができる空間を目指し設計されている…とか。
特別広いとは感じませんが、シンプルなデザインや、各線や目線の高さを揃えてある造形のおかげか、とても居心地が良く落ち着ける空間でした。
天然木のパネルは伝説の名車トヨタ2000GTの木目パネルを手掛けたヤマハが製作。
一本の木から一台分を杢目を厳選して贅沢に切り出し、寸分の違いもなくすように入念な杢目合わせを行います。
インパネやドアの横一文字に大きく広がるパネルを見れば分かりますが、杢目がシンメトリー(左右対称)模様になっています。表面は美しい鏡面仕上げです。
ちなみに前期型のパネルと中期型以降のパネルは色味が異なり、中期以降は明るめになりました。
シートやドアの内張りに用いられるのは高級なウール素材です。独特の模様が入っています。
乗客のスーツやドレス等の御召し物の生地が傷まぬようにと、表面には特殊な加工も施されています。
メーカーオプションで本革内装も選べましたが、やはりセンチュリーはウール内装です。長距離を走れば分かりますが、ウールは滑りにくく座り心地も本革シートより極上。掛かっているコストも実はウールの方が高いです。
シートの構造はクッション材の下にコイルスプリングが入っています。上質なソファーのような掛け心地で、長距離も疲れませんでした。
当然、前座より上座である後席のほうが座り心地は上です。
後席への乗降時、足が引っ掛からないようにとドアステップ部の段差を無くし、フロア面の高さと揃えてあります。
これは乗り降りのしやすさだけでなく、乗降の足さばきが美しく見られるようにとの配慮でもあります。
着物姿の女性を乗せる時も役に立ちますよ…
V12エンジンの走りは、とにかく静かで滑らか。アイドリング中や高速道路を走行している時はエンジンはほぼ「無音」です。振動も感じません。さすが12気筒だと感動します。
センチュリーに乗った後にレクサスLSに乗ると、あれ?こんなに振動があっただろうか?…と思うほどでした。
クランキング時の独特のセル音が痺れました。「シュイィィィ ブオン♪」
前期型と中期型以降でセルモーターの音が違います。前期は低めで中期以降は高めの音です。
ペダルを踏めばエンジン音はしますが、エンジンの存在感がなく、動いている感触がないので不気味です(笑)
例えるなら幽霊みたいなフィーリング…(^^;)
V8ハイブリッドのLS600hに比べても滑らかです。ウルトラスムーズ、たまりません。この滑らかさは癖になります。
セルシオもかなり静かな車でしたが、フロア面やルーフ面、ドア等の遮音はセルシオより入念でありコストが掛けられていましたから、やはりセンチュリーの車内は静かです。
セルシオって凄いなぁと思います。V8エンジンの車の中で未だに一級品の静粛性でしょうね。
ドア開閉の感触、閉めるときの音や質感の高さは国産車でも随一かと思います。ドアハンドルは金属製で重厚ですし、ドア自体も厚くて重く、ドスンと閉まります。
リアドアにはクロージャー機能が備わるのでリアドアをドスンとする必要はありません。
メルセデスW140もでしたが、リアドアを普通に閉めようとすると半ドアになりやすくて、クロージャー機能で閉めることが殆んどでした。気密性が高いからでしょうね。
女性を乗せる時はドアマンになってあげましょう(^^)
50センチュリーは、ざっくり前期・中期・後期にわかれます。
毎年のように改良があったので、更に詳しく書くと更に大変な長文になりますので、省きます(笑)
前期・中期・後期で、部品も結構変わっていまして、見た目は同じようだけど中身が変わっていて互換性がない…といった部品も幾つかあります。よく調べて部品買わないと損しますね、、
見た目は殆んど変わりませんでしたが、奥深い車です(^^;)
鉄板の厚みにも違いがあり、ボンネット等の鉄板が年式が新しくなるにつれて薄くなります…たぶん衝突時の歩行者保護の為に薄くなったのかなと
Sクラスに比べれば部品は安いですが、一般的なトヨタ車に比べれば高めですし、受注生産になる物も多く、納期が掛かる場合があります。
平成9年から27年までありますが、平成9~14年が前期。15~19が中期。20以降が後期…といった感じ。
中期型からテールランプ光源がLEDになり、オートマが4速から6速になって燃費が良くなりました。オーディオも変更され、ボディカラーバリエーションのうち、醍醐(ダークグリーン)がカタログ落ちして精華(シルバー)が加わりました。
前期はオプションでブロンズガラス(熱反ガラス)が選べたのですが、中期以降は通常のグリーンガラスのみに、、
後期型からヘッドライトがガラス製から樹脂製レンズになってロービーム光源がHIDに。あと地デジチューナーが付いたり…
22年以降から、鳳凰エンブレムがブラックタイプになりバックモニターが付き、フロント/リアガラスが遮音タイプになりました。(後期の後期)
25年以降から、サイドウィンドウガラスも遮音タイプに変わり、フェンダーミラーの鏡が広角タイプに変更されて後方が見やすくなりました。(最終型)
私の個人的おすすめは、22年式以降です。
内装のスイッチ類とか、後期は細かな箇所に若干コストダウンを感じます。
一番コストが掛かっているのは前期です…
センチュリーは元々の台数が少ないのと、多走行の車輌ばかりなので車輌選びで悩むことは多いですね。
年式、色、内装の仕様で好みの車輌を探すことになるかと思います。
グレードがわかれていたのは前期までで、中期以降はモノグレード化され、シフトの位置がコラム式かフロア式の二択だっただけです。
ガラス製ライトが良いから前期か、装備を重視して後期か、黒塗りが良い、珍しい水色やシルバーが良い、フェンダーミラーかドアミラーか、ウールか本革シートか、コラムシフトかフロアシフトか…ですね。
ドライバーズカーとして使うならフロアシフトが乗りやすいです。
センチュリーらしいのはフェンダーミラーですが、気を使わないのはドアミラーです。
フェンダーミラーは根元の台座が樹脂なので劣化すると砕けてしまい、ミラー本体がグラグラになってしまいます。この台座は割れやすいです(^^;)
色は神威(黒)か摩周(紺)が殆んどです。新車オーダーの7割は神威でしたから、黒塗りばかり流通してます。
私が乗っていた瑞雲(水色)や、鸞鳳(グレー)、精華(シルバー)は少ないです。
神威と摩周以外の色に拘ると車輌選びはグンと難しくなりますね。ただでさえ台数が少ないのに、更に少ない中から探すことになるので、、
走行距離だけで判断するのは私はおすすめしません。センチュリーの場合、特に宛にはならないと思います。
高年式で距離が少ないのなら話は変わりますが、年式にしては距離が少ないから程度が良く安心して乗り始められる…とは期待しないほうが良いです。
年式にしては距離が少ない=殆んど乗ることがなく車庫に置かれていて、消耗品の交換など特にしておらず乗りっぱなしだった車輌の可能性もあります。
乗り始めに部品の交換が重なって出費が……なんてことが有り得ます。
距離が多いからダメだろう……も使われ方次第で、まめにメンテを行いながら運用されてきて消耗品の交換が一通り済んでいる車輌を掴めば、乗り始めてあまり手が掛からなかったりします。まぁ、手が掛かる車輌も当然ありますが…
基本とても頑丈な車です。50万㎞以上を走った車輌も見掛けますし、20万㎞くらいは普通。センチュリーでは通過点です。
ただ、15万㎞から上の距離数の車輌の場合、消耗品の交換が増えます。ラジエーターとかオイル漏れとかエアサス等、お金が掛かる整備です。納車前にすべきですね。
整備記録をある程度遡れる車輌が一番です。購入するか、しないかの判断つけやすいです。
気にするポイントは、まずラジエーター等の水回り。V12ゆえに熱量が凄まじいのでエンジンルームの樹脂やゴム製品の劣化が早いです。
触ったらパキパキに崩壊…なんてことがあります(^^;)
走行後のボンネットの表面に手を置けば火傷します。エンジンカバーなんて目玉焼きができそうです(^^;)
国産車では珍しく、センチュリーの水冷システムは密閉式で外国車と同じです。圧力を掛けて冷却能力を高める為、劣化してくると樹脂部分にクラックが入り、やがて圧力に負けて砕け散り、一気に冷却水が漏れてしまいトラブルに繋がります。
私はセンチュリー購入直後に、水回りとブレーキ系のリフレッシュを行いました。全部で23万円くらいでした。
オイル漏れはシリンダーヘッドカバーからが一番多いです。シリンダーヘッドカバーのオイル漏れ修理は店によるけど安くて4~5万、プラグ交換はディーラー作業だとプラグだけで8万円以上です。イグニッションコイルも交換しておけば安心ですが、なかなかお値段がします。
2次エア系統は50系の数少ない弱点かと思います。圧力センサーの故障やソレノイドバルブの故障。圧力センサーの故障だけなら普通に走れますが、ソレノイドバルブの場合は走行に支障が出るそうです。ちなみに2次エア系が壊れるとメーターに「EFI」の表示が出ます(^^;)
エアサスも消耗品なので10万㎞以上の車輌では気にしておいたほうが良いです。だいたいフロント側からダメになります。
外国車のエアサスに比べれば圧倒的にトラブル少ないですが、エアサスは必ず壊れる箇所だと思って乗りましょう。壊れてほしくないけど(^^;)
ちなみに新品は一本9万円くらいで、Sクラスの一本20万円に比べればリーズナブル(笑)
乗り心地は船みたいです。ふわふわしています。コーナーは超苦手です(^^;)
つくり込み、品質はセルシオ、LSと比べても別格です。
トヨタ的高級車の頂点にして最高傑作。
一線越えた、別のところに在る車でした。
Sクラス、7シリーズ、A8に比べても品質は圧倒的にセンチュリーが上です。
リアシートに乗せてもらうなら、快適性はSクラス以上。自分で運転するならSクラスが楽ですけど(^^;)
センチュリーは確かに後ろに乗る車ですが、運転してツマラナイ車ではありませんでした。独特の面白味があります。
何より存在感です。周りがこちらを意識しているという感覚はSクラス以上でした(笑)
とても運転しやすくて、V12だから燃費は極悪というわけでもないし、故障も少なく安心して乗り回せますから、普通に使える車です。
威厳と気品。圧倒的な品質と信頼性。V12エンジンの幽霊のようなフィーリング…
素晴らしいサルーンでした。国産最高峰。間違いなく名車です(^^)
V8ハイブリッドとなった現行モデルよりも先代はセンチュリーとしての特別感、優越感を味わえます。
ありきたりな車に飽きたら、あるいは刺激的なクルマとは別に癒しのクルマが欲しいのなら、一度買って乗り回してみるのも良いかもしれません。案外気に入るかも…
Sクラスとセンチュリーを2台持ちできたなら…どんなに良かっただろう(^^;)
ディムラー・ダブルシックスは所有できなかったけれど、V12ハイエンドサルーンを所有するという夢を叶えてくれた車でした(^^)
おまけ、、
クランキング時の動画です(^^)
毎回エンジンを始動するのが楽しみでした♪
V12が恋しくなります(^^;)