デミオのオイル総選挙・モービル党・SAE規格・モリブデン・WAKO'Sに関するカスタム事例
2022年10月17日 23時16分
オイル総選挙スペシャル🎉
今回はディーゼルの話は一切ナシです。
主にガソリン車オススメのオイルや、
実は常識と思っていた基礎の意外なトリックについての談義になります。
まずはこの番手と呼ばれる5W-30や0W-20といったSAE規格について。
だいたいの方が頭に思い浮かぶ見方というと上の図だと思います。
低温時に柔らかい← →高温時に硬い
と認識して差し支えありません。
が、この数字が具体的に何で決まっているかというと…
後半の数字は、粘度が指定された数値以上と決められてます。30なら9.3以上12.5未満などです。
それに対し前半の数値は粘度の数値を指している訳ではありません。
(0Wと5Wや15Wと20Wは同じです)
この数値は何かと言うと、例えば0Wというのはマイナス35度まではエンジンの始動性を確保しますという意味になります。同じように5Wはマイナス30度などと、Wの前の数字が大きいほど対応する温度が高くなります。
つまり前半は低温時の粘度数値で、後半は高温時の粘度数値というのは間違いで、全く別の基準です!!
そもそも低温時の詳細な粘度を表す数字ではないので、0W以下の粘度を表す事もできません!
例えるなら高いビルを高温時の粘度、
低いビルを低温時の粘度とします。
0W-30という数値だけでは、高いビルの全長は30mと分かるけれども低いビルの高さを測るモノサシが0W以下が無くて分からないという状態です。
低温時も高温時もオイル粘度が同じに近ければ安定した出力を出せるので、2つのビルは高さが近ければ近いほど望ましいです。
先程の例えの続きですが、じゃあ高いビルの高さが分かっているなら低いビルとの比率が分かれば低いビルの高さを計算することができます。
そのための数値が粘度指数です。
これはトヨタのGRの粘度指数向上剤ポリマーを使用していないオイルです。
165とありますね。
この数値が小さいほど、高いビルと低いビルの差が大きくなります。
0W-20ならば160以上でオイルの性能としては問題ないレベルです。
ではこの差を縮めるためにポリマーを沢山入れるとどうなるでしょうか?
これは先程のオイルよりかなり柔らかいベースオイルに死ぬほど粘度指数向上剤をぶっ込みまくったオイルです。
0W-20という粘度が0W-50とかに変わるわけではありません。
粘度指数が310と倍近くなっていますね。
高いビルと低いビルの差をポリマーで無理やりなくした状態です。
ポリマーが入っているのに粘度が20という事は素のベースオイルの粘度がかなり低いです。もし更に下の数値があるとしたらマイナス10W-20とかですね🤣
それをただ規格通り0Wと書いても低温時のサラサラ感の凄さが伝わらないので粘度指数でアピールしている訳です。
オイルの特性
低温で硬い←→高温で柔らかい
ポリマーの特性
低温で柔らかい←→高温で硬い
この2つを混ぜ合わせると高温と低温で一定の粘度になります。
しかしポリマーの性能がいくら良いとしても、有機物ですので高温になると燃えてカーボンになり、含有量が多いほどエンジン内に影響が出ます。
YouTubeでスノコのスヴェルトとGRの0W-30オイルを加熱して着火してみるとどうなるかの検証動画がありました。
左がスノコ、右がGRです。
着火されるとカーボン含有率が高いGRオイルはみるみる黒く炭化していきますが、スノコは燃える気配すらありません。これがもしエンジンルームの中で起こったら恐ろしいです😅
普通は230℃くらいがエンジンオイルの引火点ですが、GRのポリマー大量オイルは180℃くらいで一瞬で炭になります。
ポリマーが悪者と言いたい訳ではありませんが、低粘度オイルであまりにもこの数値が高い場合はポリマーの含有量が多い場合があるので、SAE規格と粘度指数の両方を見比べてみるのも大切なポイントの一つとなります。
気になる方はこちらからどうぞ♪
https://youtu.be/I-s9EJ-Wzh0
ここからはガソリン車にオススメのオイルのフィーリングや特性について。
まずガソリン車にオススメなのはこちら。番手は幾つもありますが王道中の王道、MOTULの300Vシリーズです。
フィーリングが最も良いとされており、エンジン保護性能も優れた究極のバランスタイプ。
API規格が最新のSNやSPではなく、なぜ古いSMなのか解説します。
決して今の車に適さないからではありません。
その理由はエステルと大量の有機モリブデンのドロドロした関係です。
有機モリブデンは金属と金属が接触しそうになると被膜を形成して摩耗を防ぐ強制加入保険みたいな役割&金属に吸着し摩耗を防ぐエステルと同じ役割も果たす添加剤です。
前々回の投稿でエンジン始動時の摩耗を防ぐのにはエステルが良いとの解説をしましたが、実はエステルよりも強力に摩耗を防ぐ性能を持っています。
じゃあマツダ純正オイルはモリブデン入ってるからエステルじゃなくて良いじゃん!と思われるかもしれません。
有機モリブデンは一度摩耗を防ぐ役割を果たすと、二硫化モリブデンに変化し単なるスラッジと化してしまいます。
モリブデンを使い切ってしまうと摩耗を防ぐ事ができなくなってしまいます。
反面エステルは摩耗を防いでも消耗しませんので、スラッジのダレが影響することもありません。
300Vに話を戻します。エステルと有機モリブデンが両方入っていると、通常はエステルで摩耗を防ぎ、いざとなった時や補佐としてモリブデンがエンジン保護性能を発揮できます。
しかし金属に吸着する力はエステルのほうが強く金属面を独占しモリブデンを邪魔者扱いしてしまうため、数の暴力でモリブデンを大量投入する必要があります。300Vでは1000ppmくらいと聞きました。
有機モリブデンは硫黄やリンを含んだ化合物です。
SM以降の規格ではリンや硫黄の量を制限しなくてはならなくなったので、300Vの規格はSMで止まっているという訳です。
DPFを痛めるディーゼル車なら致命的ですが、ガソリン車なら硫黄やリンは潤滑剤にもなるのでデメリットが圧倒的に少ないです。
本当にエステルとモリブデン両方にしっかりと仕事をさせたいなら大量にモリブデンを入れる必要があります。
エステル&モリブデン配合と書いてあるのにAPI規格がSNとかSPのオイルが存在します。有機モリブデンの量が少なく、それに呼応してエステルの量も微量になるので単なる売り文句と判断できるでしょう。
あとWAKO'Sのフラグシップオイルの三種類は非常に面白いです。
マルチロードの安物は最悪でしたが😂
4CR、TR、WRとあるのですがそれぞれ特
性が全く違います。
WRの特性
ディーゼル車のエステルベースオイルの感覚に近いです。強力にエンジン内に張り付いて油膜を厚く形成し圧縮を逃さないので、低速からのトルクを充分に発揮できます。原付きや高回転を使用しない運転、ターボのガソリン車向けです。
4CRの特性
前回の投稿で、自分がMobileのPAOベールのOILを使ったらエンジンが軽快だったと書きました。エステルは金属に吸着し厚く油膜を張る反面、シリンダー内などの抵抗になってレスポンスに悪影響を及ぼします。PAOは金属には吸着しないためエンジンの動きを邪魔しません。そして高負荷時でも油膜を強固に張るので高回転で軽やかに加速できる…という原理です。4CRはこれに似た特性を持ちます。油膜は薄いですが分子が精密でかなりの強度を持った油膜を張ります。これはV-TECなど高回転型エンジンと相性抜群のオイルと言えます。
TRの特性
長いこと4CRとWRが真逆の極性を持つフラグシップでしたが、300Vに対抗するために4CRとWRの中間地点で作ったようなオイルです。かなり300Vと似通ったオイルにしたらしく、フィーリングなどは見分けがつかないそうです。
あとは評判だけの話になってしまいますが、パワークラスターのビレンザなどが非常に評価が高いです。
エステルとモリブデンでSP規格取っていたり、アルキルナフタレンなんて今の技術なら不要な添加剤を売りにしてたり、マツダのディーゼルには10W-60が良い!などかなり破天荒な印象ですが、
R35GTRでサーキットを走るオーナーさん達には好評のようなので、走りに振りたい方にはお試しで使ってみて貰いたいなと思います。