マーチのサファリラリー・マーチターボ・WRC・K10マーチ・EK10マーチに関するカスタム事例
2022年02月14日 20時16分
1987年WRC第4戦、第35回サファリラリーのマーチターボその2。
1987年WRC第4戦、第35回サファリラリーのマーチターボ。
EK10マーチターボ第35回サファリラリー参戦記/インタビュー
柑本 寿一 ◆マーチターボ(リタイヤ)
インジェクターの配線が熱で溶けてリタイヤ・・・・・
完走すること。それしか頭になかったね。-----------------------
-----まず最初にお聞きしたいのは、
マーチで出場することになったいきさつはどうだったのですか?
柑本 ニスモがマーチのラリー車を8台つくるって言ったんですよ。
それをレンタルするから行ってみないかと。昨年末のことで、ラリー車の発送が
2月中旬だから、実質的には2か月しかない。
かなり難しいですけど最終的には行ってみようという話になったんです。
----最初からニスモの方はサファリラリーと限定してきたんですか?
柑本 サファリとは限定してこなかったんですが、やっぱりプライベートでクルマ
出してやるのは初めてだし、やるならサファリが一番効果的だと考えました。
まぁ完走すればね(笑)。日本人はサファリ、モンテっていうのを一番知ってますから。
だから、せっかくやるなら僕はサファリやります、他のならやめますと話したんです。
----エンジンはまったくのノーマルで?
柑本 僕はそういうふうに聞いていましたから、当然うちの2台のクルマはノーマル
です。ただしLVVC付けてターボ圧を上げられるようにはしました。
ノーマルのエンジンだからそんなにあげられません。せいぜいコンマ8ぐらい。それでも
実質的にはきついだろうと思いましたけどね。
----柑本さんサイドで行った日本人は何人ぐらい?
柑本 3人です。村松さんとうちの森本、そして松本さん。
----現地に着いてからもいろいろ作業があったんですか?
柑本 うちのナビ(ピーター・ティルバリー)神経質だからね。
いろいろ細かい要望があるんですよ。
----現地に入ったのは?
柑本 3月29日です。
----スタート前に難波さんに"お前ら、完走しろよ〃なんて言われたようですが、やはり
それしか頭になかった?
柑本 うん。それしか頭になかったですね。
カバルネットまではとても順調だった。----------------------------
----で、スタート1日目は?
柑本 なにしろ、ピーターも完走しなきゃだめだっていうんで、
散々抑えられたんです。だから、路面の良いところでは
一応(アクセル)踏んでいますけど、路面悪くてボトミングする
でしょ、ポーンと。するとピーター嫌な顔するからね(笑)。
----1日目は、何もトラブルはなかったんですか?
柑本 全然ないです。
----カバルネットまでは順調だったわけですよね。
柑本 チェロを降りてきて、だいたい1000kmでしょ。
そこでショックを交換したんです。
ショックは全然平気だったんですけど、ガレ場降りてきて
ちょっとやわくなったかなという感じだったんでね。
ショック交換して、サービスタイムを15分か20分とってるんじゃないかな。
----それはバリンゴ湖の舗装の手前でやったやつですか?
柑本 ええ。あそこはすごくきつかったですね。舗装の継ぎ目にTCがあるでしょ。
あそこから70kmかなカバルネットまで、うちなんか全部全開で行ってオン・タイムですよ(笑)。
けっこう勾配がきつくて15%ぐらいありましたね。
フラットな道でもうちのクルマは150km/h出るかでないかでしょ。
それで登りなんていったら、すぐ70、80km/hにおっこっちゃうから、
もうひどかったよ。それは。
----リタイヤしたのはその後のナイトセクションの方でしたか?
柑本 いえ、キムスの後です。
----ナイトセクションはどうでした?
柑本 ナイトセクションで調子がおかしくなってしまったんです。
----エンジン?
柑本 まず、チェランガニヒルっていう日本の山道みたいな
狭いところを走っていたら、車速遅いのでエンジンルームがすごい熱くなったんです。
頂上のTCの300mぐらい手前でエンジンがブスブスいい始めちゃって。
あ、おかしいな、たぶんオルタネーターかなんかの配線だろうと思って、
TCに着いてパッと開けたら、配線が切れていました。
オルターネーターだったらパアだったけど…。
----ナイトセクションでは投石はありました?
柑本 ありました。エンブじゃないかな。ガラスを割られていました。
夢を達成するまでは絶対引退できないね。----------------------------
----最終的にはどこでリタイヤしたんですか?
柑本 最終的にはキムスから100kmちょっとの舗装のヒルクライムセクション。
メインロードに登りきってから壊れたんです。ここがサファリルートのなかで
標高が一番高かった。約3000mです。
----最終的にはエンジンですか?
柑本 登っていたら高崎くんがクラッシュしていて"大丈夫〃と聞いたら、ナビが
ちょっと怪我しただけというんです。で、そこで止まったらもう登らないんですよ。
そこまでもローやセカンドで必死に登ってきた。そしたらローでも全然ダメなんです。
高崎くんがデストリビューター持っているというから、交換したんです。
そしたらエンジンがかからない。で、また元のに付け替えて、
なにしろタイムオーバーがあるから行かなきゃしょうがないと、
みんなに押してもらってやっとトロトロ登ったんだけど、
セカンドに入れても加速しないんですよ。
で、ローでなんとか頂上に着いて、T字路を右へ曲がって1kmも
いかないうちに、エンジンが力つきたのね。原因はなんだかわからなかった。
ラリーを終わって牽引して帰ってきてよく調べたら、インジェクターへ行っている
3番の配線が溶けて切断していた。
----何の熱で?
柑本 エンジンルームの熱で。話に聞いたら、せっ氏200度ぐらいになれば接触
しなくても 溶ける可能性があるっていうんですよ。
----それぐらいあがっちゃてたわけですか?
柑本 そうでしょうね。というのは、そういうことが予想されたので、ボンネットの
後ろをあげてたんですよ。そうしたら車検の時、技術員にだめだっていわれて。あれが
開いていたらかなり違うんですよ。うちのクルマのトラブルってエンジンマウンティングの
リヤが落ちたことと、それだけなんですよ。足回りはまったく大丈夫だったんです。
----とするとニスモが意図した安い費用で楽しむ、もうちょっとパワーあった方が
いいんだろうけど、そういう意味ではいけそうなマシンだった…。
柑本 僕はいけると思いますね。
----今回はだめになりましたが、次回の予定は?
柑本 僕は考えていないんですけど、このままでは行きたくないですね。
いろいろ対策して、ある程度テストさせてもらえれば、また何か考えます。
来年のサファリは、またやりたいですね。ことしは抑えに抑えたんですけど。
一度は完走しないと、ラリーやめられないよ。もう50になるのに。(笑)。