ISのIS・Lexus・車高調・TEIN・テインに関するカスタム事例
2019年04月19日 14時50分
風が花吹雪を舞い散らせ
新緑の葉をつけ始めた小春日和のある日
男の元に、一つの荷物が届いた……
荷物は形を崩し、到底普通じゃないルートでの運搬を感じさせるものだった…
その容姿を見て、男の脳裏に直感的に何かを感じた……
贈り主住所…神奈川県横浜市……
贈り主名…手印 緑
男は少し俯いて、静かに左頬の口角を上げた……
彼には分かっていたのであった。
贈り主の住所も名前も、全部デタラメだという事を……
男は慌てる様子でもなく、その痛々しい箱を開け始め中に入っているものを確認した後、そっと蓋を閉めた…
あの時、男の脳裏によぎったものが確信へと変わった……
もうどれ位の月日が流れたのだろうか…
あれからは普通に朝起きて、普通に通勤をし、普通に仕事をして、普通に帰宅をし時には少しばかりの酒を嗜み、極平凡な生活をしていた……
この荷物が届くまでは……
男は深い溜息を一つ吐き、秘密裏な任務を遂行の手立てを考えていた……
そう、秘密結社 マッドサイエンティストtakezo-としての人格に変わる為に……
男は久し振りにマッドサイエンティストとして、任務遂行に対しての高揚感を抑えきれずにいたのである…
足早に少し重量感のある荷物を運び出し車に投げ入れ、ここではない別のアジトへと車を走らせた…
しばらく車を走らせると、別のアジトが見えてきた…
それは秘密裏に遂行する為の場所とは思えない程の庶民的な場所……
広いアジトの一角で車を止めていると、仲間の車が駆けつけて来た……
彼にも秘密結社から、この任務を遂行する様にとの暗号が知らされていたのだった……
男達は顔を見合わせた後、一つの言葉も交わさずに任務を遂行し始めた…
静寂の中、任務を遂行する男達の役割は決まっていた。全ては時間内に終わらせる為だ…
一人の男は車を持ち上げ、また一人の男は、タイヤを外し…
特殊訓練された男達の息はピッタリとあっていた…
見る見るうちに汚れていく手袋をつけたその男達の側には、特殊な工具が散乱していた…
そして、黙々と作業を進めてから30分は経っただろうか……
様々な部品が繋がっている狭い間を、まるで知恵の輪を解く様にしながら男達の目的のブツが、摘出されたのだった…
黒いダンパーに赤いスプリングの付いたものが、それだ……
男は目的のブツを取り外した後に、今度は色の違うブツをフロント左右に一本づつ仕掛け始めた…
一度解き方を分かってしまった知恵の輪は、逆の手順で組んでいけば必ず元に戻る様に……
男達にはなんてこと事のないことだった……
それは取り外したブツとは比べ物にならない位にしっかりとしたものであり、下の方の筒には何かが仕込まれたかの様にドッシリとしたものだった…
日も少し傾きかけた頃、フロントの左右の装着が終わり…
そして男達は水を飲む訳でも一服をするでも無く、リア側の作業に取り掛かった……
全てはそう、時間内の任務遂行の為に……
辺りには鳥の鳴き声が増え始め、少しだけ風が強く吹くようになりだした頃……
男達の目的の任務は果たされたのであった…
夕暮れに差し掛かる薄オレンジ色と、白く靄がかった青い空の狭間を眺めながら…
男達は、タバコを取り出し一服しながら静かに話し始めた……
お互いに言葉数は少ないが、それでもお互いがわかり合っていた…
少しの間、普通の生活をしていた頃の世間話をした後二人は別れて帰路に着いた…
長い様であっという間の時間が過ぎ、男は自分のアジトに戻った…
アジトに帰ると、一通のメールが届いていた…
それは秘密結社の総本部からのメールだった…
"マッドサイエンティスト takezo-…
今回のブツは気に入ってもらえたかな…
ブツはそのままの状態で送っておいた…
後は、生かすも殺すもお前次第だ……
手印 緑 "
"生かすも殺すも、お前次第だ……
手印 緑 (テイン ミドリ)……