SLのSLと私 ⑩・追憶に関するカスタム事例
2023年10月26日 18時34分
パーツリストが鈑金屋さんより上がって来ました。後で必要になる部品はその都度発注するとして、神戸の方へ注文を入れました。
気になっていったグリルのフレームについて、神戸の社長に話をすると‥
「部品はもちろんあります。けど、純正品は高く‥。〇〇万円ぐらいします。」
えーーーっ!😨
いくらだったのか忘れましたが、確か数十万円だったと‥。
クルマの第一印象を決める部品ですから、重要といえば重要でしたが、枠だけでそんなにするんだ‥ということに驚きました。
「ただ、アメリカ製の社外のパーツもあります。そちらは〇万円。実は、僕のところにそのストックがあります。もし良かったら、送りますから、それを試しにはめてみて、それで決められたらどうでしょう?」
社長の勧めに従うことにしました。
運転席下、左右前輪の泥よけ部分、トランクの下のフロアーパネルや、燃料ポンプのカバーなどを注文しましたが、いずれも価格はそれほど驚くものではありませんでしたが、グリルやバンパー、モールなどの光りものは目の玉が飛び出る程高価でした。
事故したら、大変だなぁ。
そう思いました。
私はその頃、自動車保険を地元で仕事の付き合いがあった会社に頼んでいました。その会社は、主に鉄くずなどのスクラップを扱う産業廃棄物の商社を主とし、複数の会社をグループとしていました。その会長と仲良くさせていただいた関係で、保険を取り扱う会社もやっていらっしゃったので、お願いしていたのでした。
会長もクルマが好きなようで、ベンツのCL500(当時の現行。220Sクラスの頃のモデル)に乗っていて、私が古いベンツを手に入れたことを知ったようで‥
「〇〇くん。古いクルマっていうのは、希少価値があるかもしれない。けれど、それは欲しいって思う人がいてはじめて成り立つ価値。保険、スクラップ屋‥その見方で、30年以上経ったクルマを評価すると、もう償却を終えた限りなくゼロに近い評価になる。鉄くずなんだよ。飽きたら三万ぐらいで引き取るよ(笑)」
会長は冗談でそう言いました。
そんなものなのかもなぁ‥と妙に感心する自分がいました。
保険はそれほど詳しくありませんが、事故にあった時、特に全損となった場合に、保険会社がそのクルマの価値をどう見るのか‥知り合いの実例などから、修理費用よりも割安なそのクルマの現在価値に置き換わるといった話は知っていました。
私のSLがもし不幸にも事故に遭遇したら‥。
自分が起こした場合は自業自得として諦めるとして、もし自分の過失ゼロで非が全面的に相手にあった場合どうなるのかなぁ‥と。
クラシックカーに車両保険をかけるのは難しい。だから、相手の保険を使うことになるけれど、そうなった場合、きっと揉めるだろうなぁ‥と。
うかつに事故れないなぁ‥。
バンパーやグリルのその凄まじい程の価格を知った時に、そんなことを考えました。
つづく