2019年06月03日 (更新:2022年10月20日)
デミオDJ型のボディサイズを他メーカーのコンパクトカーと比較!
マツダ デミオの室内は、ライバル車に比べて非常に狭く、ライバルには一歩劣るのが実情。しかし、それはマツダの意図であり、デミオは同クラスのライバル車とは同じ基準では測れない価値があります。デミオと他メーカーコンパクトカーのボディサイズを比較し、どのように違うかを数値から読み解きます。
デミオの各種ボディサイズ
ボディサイズ | 全長4,060全幅1,695全高1,500〜1,550(mm) |
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室内寸法 | 室内長1,805室内幅1,445室内高1,219(mm) |
ホイールベース | 2,570(mm) |
前後トレッド幅 | 前1,495後1,480(mm) |
ボディサイズ・室内寸法からみるデミオ
小型ワゴンとしてデビューした初代マツダ デミオは、3代目デミオから大きく路線変更し、室内寸法を犠牲にしても運転のしやすさにこだわってつくられるようになりました。
現行4代目デミオは、外形寸法は他のコンパクトカーと同じく標準的な寸法であるものの、ルーフラインは運転席の後ろから大きく傾斜し、リアハッチの傾斜も大きいデザイン。そのため、リアシートの頭上空間はライバルに比べて低く、後席はライバルに比べて非常に狭いという特徴があります。
ホイールベース・トレッドから見るデミオ
ホイールベースを長くとることは、ホイールハウスが室内を侵食する量を減らすための常套手段。しかし、デミオはクラスとしては長めのホイールベースを持つにもかかわらず、室内長は、ライバルに比べて短くなっています。
デミオは、エンジンルームの占める割合がライバル車よりも大きく、キャビンは後方へ後退しドライバーは相対的に車の中央近くに座ります。ライバル車のドライバーズポジションとを比較すると、デミオはホイールベース中央にドライバーの頭が位置するようになっており、これは車の挙動を感じ取りやすくするためにマツダが意図した設計です。
また、車両全長に対してホイールベースを長く取ることは、直進安定性を高めるとともに、コーナリングの足かせとなる前後のオーバーハングを切り詰めることになります。マツダは最小クラスであるデミオにもしっかりとしたスポーツカーのフィーリングを与えていることにほかなりません。
デミオのライバル車となるコンパクトカーと比較
トヨタ ヴィッツ
ボディサイズ | 全長3,945全幅1,695全高1,500〜1,530(mm) |
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室内寸法 | 室内長1,920室内幅1,390室内高1,220(mm) |
ホイールベース | 2,510(mm) |
前後トレッド幅 | 前1,485後1,470(mm) |
ヴィッツのボディサイズは、ベーシックなコンパクトカーの見本となる数値。デミオよりも全長、ホイールベースは短いものの、デミオよりも室内長が長くとられています。室内高はデミオと同等であるものの、フールラインの傾斜はゆるいため、後席の頭上空間にも余裕があります。
明らかにスポーティに設計されたデミオと比べると、快適性や使い勝手を重視したバランスの取れた設計に仕上げられています。誰が乗っても過不足のなく使えるように配慮されたトヨタらしい設計です。
ホンダ フィット
ボディサイズ | 全長3,990全幅1,695全高1,525〜1,550(mm) |
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室内寸法 | 室内長1,935室内幅1,450室内高1,280(mm) |
ホイールベース | 2,530(mm) |
前後トレッド幅 | 前1,480後1,470(mm) |
ワゴンボディのフィットは、室内空間の広さではデミオはもちろん、ヴィッツをも上回ります。フィットは、デミオよりも短い全長ながら、広大な室内空間が特徴です。それを実現するために、極力フロントよりに追いやったコンパクトなエンジンルームは、エンジンや補機類までコンパクトにまとめなけば実現することはできません。
さらに特筆すべき点は、室内高の高さ。クラストップの室内高は、ホンダが得意とする底床技術によってフィットにコンパクトカートップクラスの快適な室内空間を与えています。
これらは、故・本田総一朗の提唱した、人間のためのスペースを最大にして機械のためのスペースを最小にするという「M・M思想(マンマキシマム・メカミニマム)」に基づくホンダならではの設計です。
日産 ノート
ボディサイズ | 全長4,100全幅1,695全高1,525〜1,535(mm) |
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室内寸法 | 室内長2,065室内幅1,390室内高1,255(mm) |
ホイールベース | 2,600(mm) |
前後トレッド幅 | 前1,480後1,485(mm) |
日産 ノートは、クラストップのボディ全長とホイールベースをもち、室内長2mを超えるコンパクトカー。その恩恵で、リアシートはコンパクトカーとは思えないほどの快適であり、とくに足元の空間はセダンと同等の広さを備えます。ただし、そのぶん後ろに圧迫されたラゲッジスペースはリアホールハウスの圧迫もあって外観から想像するほど広いとはいえません。
ノート e-POWERで必要になる、巨大なハイブリッドバッテリーは前席下に配置されるため、室内空間への圧迫は最小限にとどめられていることもポイント。長めのホイールベースがもたらす直進安定性を活かして、デミオのようにキビキビ走るよりも、ワゴンのようにゆったりと走ることに特化したコンパクトカーといえるでしょう。
まとめ
あらゆる人によって、あらゆる用途に使われる車であるコンパクトカーは、使い勝手のよさが最重要項目。そのため、ボディサイズは基本に則り、各メーカーが申し合わせたようにほとんど同じ寸法に収まります。その限られた寸法のなかで、いかに広く快適な室内寸法を確保するかがコンパクトカーをつくるうえでもっとも熟慮する部分です。
それにもかかわらず、マツダ デミオの室内空間はライバルに比べて明らかに劣っています。マツダは、あえてライバルと同じ土俵で戦わず、使い勝手を捨ててまでドライバーズカーとして設計することで、ライバルとの差別化を図っています。
スポーツカーと呼ばれる車ですらしっかりとしたドライビングポジションを取れる車は少ないなか、デミオは理想的なドライビングポジションが与えられたコンパクトカー。そして、それがマツダのコンパクトカー市場での戦い方です。