SLのSLと私 ③・追憶に関するカスタム事例
2023年10月19日 18時35分
SLの続きです。
その後は、大きなトラブルもなく、私とSLは順調に走行を続けました。
恵那山トンネルを抜けて、長野県に入りました。とはいえ、長野県は縦に長く北から南までで200キロ程あり、私が住んでいるのは北の方でしたので、ようやく南に入ったところ、ゴールはまだまだ先です。
唄うことにもそろそろ飽きていたので、途中、物思いにふけることにしました。余計に眠くなって危険なのかも‥ですが。
やっぱりキャリアカーを借りて出かければ良かったかなぁ‥と後悔したのがまずひとつ。
そして、自動車を売る仕事も大変だよなぁ‥と思いました。
個人相手の商売の中で、クルマは不動産に次いで高価な商品を扱うものの1つ(不動産より高価なクルマもありますが)。動かすお金が大きい分相応の利益を得られるから儲かるだろうなぁと思っていました。けれど、それは何もトラブルがなければの話。特にクラシックカーはモノによってそのコンディションも千差万別。
私のSLは「現状販売」であり、試乗もしているので、買った当日のトラブルとはいえ、あまり文句を言える状況ではありませんでしたし、当初長距離を自走で帰ることに社長も困惑しているようでした。
それでも、夜を徹して、駆けつけてくれ、気の利いたことは言わないけれど、自分の商品に対してできる限りの責任を持とうとする社長の姿に学ぶところありだなぁと感じていました。
また、購入時に社長がこんなことを言っていたのを思い出していました。
「このSLを手放す時があったら私に売って下さい」
社長のその言葉が印象に残っていて。
減ることはあっても増えることのない絶版車。そんなクルマを手に入れるというのは、所有というより預かっている感覚に近いのかも‥と、自分なりに感じていました。(うまく表現できないですが(>_<))
そして、きっと私は試されているのかなぁ‥と。
比較的新しいクルマばかりを好んできた私の話も社長に話しましたので、「きっと一時的な盛り上がりでの購入だろう。旧車の大変さがわかってないから遅かれ早かれ戻ってくるだろう」と思っていたのかなぁ‥と。
そう想像すると、「ハードトップを‥」の話と「手放す時には戻して」という話、それを言った真面目な社長の姿がリンクしてくるのです。
〈後日、長野にSLを届けに来た社長とメシを食ったのですが、その時に、あの言葉の真意を聞けば良かったと後悔しています。(その時の話はまたあとで)〉
深読みし過ぎなくらいに、いろんなことを考えながら、伊那を過ぎ諏訪にさしかかってくると、気温は一段と下がり、窓やドアあたりから冷たい空気が流れこんできました。
「ウェザーストリップのゴムもダメだなぁ。部品あるかなぁ。」‥この先のことを考えると、不安に思う反面、新車と違って手を加える楽しみがあるなぁとワクワクした気持ちになれる自分がいました。
着いた。間に合った。
空が明るくなる頃、無事に家にたどり着くことができました。もう午前7時になろうとしていました。仮眠の時間はもうありませんでした。SLを置いて、そのまま会社に向かいました。
週末までSLはお預け‥。
仕事から帰って夜にSLを眺めながら一服したり、あれこれ探ったりすることを繰り返して、ようやく次の週末になりました。
最初にやったこと‥まずスペアーキーを作りに鍵屋さんへ出かけました。キーが1つしかなかったので、失くしたら終わり。
113SLのキーパターンはごくごくオーソドックスなカットでしたので、容易に作成することができそうでした。そしてキーは2種類必要でした。私のクルマは燃料キャップを途中交換したらしく、イグニッションやドアの鍵で1つ、燃料キャップ専用で1つ、それぞれ違うものになっていました。
たまたま、そのお店に、ベンツの純正にそっくりなものがあって、オリジナルに近いスペアーを作れたので満足しました^ ^
そして、その後、凍結防止の塩カルが撒かれた高速を走って帰ってきたので、錆が心配で、下部洗浄だけしてもらおうと思い、ガソリンスタンドへ。
機械式の下部洗車機で洗浄開始。
わぁ!
温水の洗車機が前から後に通った瞬間、室内のガラスが一瞬で結露しました。
「穴でもあいているのかなぁ。いや、多分、ウェザーストリップのせいだろう。」と自分に言い聞かせました(笑)
ガソリンスタンドを後にして、自宅に戻る途中で知り合いに会いました。
知り合いはビックリしていました。
「どうしちゃったの?(笑)神戸に引っ越したの?(笑)」
苦笑してそう言う知り合いに対して、私はとても自慢げでした^ ^
神戸ナンバーの縦目SLに乗った自分はオシャレで上品だと勝手に自分に酔っていました(笑)
自宅への帰り道。「やっぱりオートマの調子がおかしいな‥。」と思いました。
神戸で試乗した時も感じていましたが、アクセルを踏みこんだわけでもないのに、平坦な道でも突然変速が起こります。そして、変速ショックが大きくて‥ガツーン、ガツーンと来るのです。
次の週末に、地元の自動車屋の社長の所へ、名変をかねて持ち込むことになっていたので、一通りみてもらうことにしました。
その日の夜、いつものように車庫に行くと、洗車した時の水滴がコンクリートの床にたれていました。すると‥それは茶色い水でした😱
つづく