レンジローバーのクラシックレンジローバー・空調・除湿に関するカスタム事例
2021年09月18日 16時26分
1987年式クラシックレンジローバーに乗っています。(model yearはDA) 中古並行物、3.5LガソリンV8 EFI、LT77 5速マニュアル、手動センターデフロック可能なLT230Tトランスファー。 ボディカラーは、元色はカスピアンブルー。2021年秋にセルフオールペンして艶消しベージュへ。 布シートでパワーシートなし、サンルーフなし、ABSなしの無い無い尽くしのシンプルな仕様。 2023年にフルコン化しました。 他にジムニーSJ30 とJB23 も持ってます。
クラシックレンジの空調の除湿方法について
クラシックレンジ の前期型(通称:ハードダッシュ)の空調はヒーターとクーラーが別々なので、通常の車のように除湿された冷風と温風がミックスされた適温の風を吹き出すことができません。(なお、後期型:ソフトダッシュはエアミックスできるようになっているようです)
また、空調パネルの各レバーの動き(機能)が説明書を読んでもイマイチ良くわからず、これまでは適当に使っていました。
そのため、気温が比較的低い雨の日や梅雨時はクーラーをかけると寒く、ヒーターだと暑すぎてしまい、窓の曇りを快適に取ることができませんでした。
先日、ヒーターユニットをOHした時に内部構造を詳細に把握した結果、無改造で冷風と温風をミックスして吹き出せることを発見しましたので情報展開します。
(なお、これから説明する使い方は不具合を発生させる可能性もあるので、試す場合は自己責任でお願いします)
まず、難解なCRRの空調コントロールパネルに関してですが、各レバーがヒーター/クーラーをどのように動かしているかをヒーターユニットの断面図とともに記載しておきます。(汚い絵ですみません😅)
レバーA:
ヒーターからの風をフェイシアから吹き出す量を調整するフラップAを動かしている。(ちなみにヒーター時にフェイシアから出せる風は常温のみで、温風は構造上出せない)
レバーB:
機能①ヒーターブロアの風をヒーターコアに通す量を調整するフラップBを動かし、ヒーター稼働時に温風温度の調整を行なっている。(2枚同時に)
機能②クーラー温度調整の可変抵抗を動かし、クーラー稼働時にコンプレッサーのON/OFF制御をしている。
レバーC:
ヒーターからの風をフロントガラス下のデフロスター(ダッシュボード上の丸吹出し)から出すか、足元から出すかを切り替えているフラップCを動かしている。(2枚同時に)
レバーD:
風量調整ノブ。ヒーター稼働時はヒーターブロア、クーラー稼働時はクーラーブロアのスピードを3段階で調整している。
レバーE:
モード変更レバー。
左から「クーラー(内気循環)」「デュアルモード(外気導入)」「ヒーター(内気循環)」「ヒーター(外気導入)」の4モード。モードによりフラップEが切り替わる。(ただし風量0の時はフラップは切り替わらない)
またモードによりヒーターブロア/クーラーブロアのどちらか、または両方が動作する。
※デュアルモードとは「ヒーター(外気導入)」と「クーラー(風量弱固定)」を同時に動かすモードです。このモードでは風量調整ノブDはヒーターユニットの風量(ヒーターユニットのブロア)を調整しています。(クーラーブロアは風量弱で固定です)
フェイシアからはクーラーの冷風が出て、ヒーターの温風がデフロスタまたは足元から出ます。
これらの構造と各部の働きを把握した結果、温風と冷風をミックスして出す方法を考えつきました。(無改造で)
■やり方
①フェイシアの風向調整レバーを左いっぱいに動かし、フェイシア吹出し口を閉じます。
②レバーAを一番上にしてフェイシアの絵に合わせる。(フラップAを開けてフェイシアのダクトとヒーターユニットを導通させる)
③レバーEを一番左のクーラーモードにする。
④レバーB(温度調整)、レバーC(デフロストー足元切り替え)はお好みの位置へ。
⑤レバーDでクーラー風量をお好みに。
その時の風の流れを図示します。
動作としては、クーラーモードなのでまずクーラーユニットで作られた冷風(除湿冷風)がクーラーブロアの回転によりフェイシアのダクトに供給されますが、フェイシア吹き出し口が閉じていてフラップAが開いていて、かつヒーターブロアは停止しているため、冷風はフェイシアダクトからヒーターユニットの中へ逆流するように流れこみます。この冷風が熱々のヒーターコアを通ることで熱せられて、適温になった除湿空気がデフロスターまたは足元から吹き出すという仕組みです。(残念ながら構造上エアミックスされた空気をフェイシアから出すことはできません)
なお、ヒーターコアを通す風量(除湿空気の温度)は温度調整ノブBで調整可能です。
※絵は便宜上、温度調整ノブBは最暖、ノブCはデフロスト位置にした状態を示しています。
クーラーモードではなく、デュアルモードでもほぼ同じことはできますが、クーラーモードは内気循環に対してデュアルモードは外気導入となってしまうので、雨の日など外の湿度が高い日は外の水分を含んだ空気が入ってきて、除湿効果は下がると思います。
また、デュアルモードはヒーターブロアが回りますのでヒーター内圧が上がり、クーラー冷風がヒーター内に流れ込みにくくなると思います。
雨の涼しい日に何回か試運転してみましたが、デフロスターや足元からは温調された空気が吹き出し、窓の曇りも取れることを実際に確認できました。
この方法を実行する際の注意点としては、フェイシアを閉じても構造上完全には密閉できないので少しのクーラー冷風が漏れてきます。若干膝まわりが寒く感じられます。
また、フェイシアのパネルやフェイシアダクトとヒーターユニットの接続部に隙間があると冷風が漏れ出てしまいます。スポンジなどが劣化していることが多いので、接合部は新しいスポンジやテープなどでしっかりと隙間がないように補修しておくのが良いと思います。
この使い方で考えられる不具合としては、ヒーターユニットが冷えすぎてしまい、環境によっては表面に結露が生じるかもしれません。
余談ですが、これまでの話からフラップAが開いているとフェイシアダクトのクーラー冷風がヒーターユニットへ流れてしまいますので、真夏のクーラー稼働時に最大限にクーラーを効かせたい場合はフラップAを閉じておく(レバーは下に)必要があることがわかります。
ただ、空調パネルのフラップAを閉じる位置には赤い四角マーク(MAX DEMIST)が表示されていて、いかにもヒーター使用時に合わせるように錯覚しますので、私もこれまでクーラー時にはフェイシアの絵に合わせていましたが、これは誤解であることに今更ながら気づきました(笑)