N360の昭和商店・N360・圧縮比に関するカスタム事例
2025年02月28日 12時37分
ちょっとDeepなお話しです。
エンジン復活に伴い一点懸案事項が発生です。
N360は一般的なセルモーターではなく起動と発電用を兼用したセルダイです
旧式のDCモーターでエンジンを回す力や発電力が非常にか細いんです。
その為排気量の大きいN600ではセルダイではエンジンを回す事が出来ず一般的なセルモーターが採用された様です。
今回の450+1mm仕様ですがギリギリまだ回るんですがかなり厳しくほぼ限界です。
原因と対策の為の考察です。
先ずピストン交換に伴い当然排気量が変化します。
①360仕様
排気量:62.5×57.8=354.656cc
②450仕様
排気量:70.5×57.8=451.259cc
③450+1mm仕様
排気量:71.5×57.8=464.152cc
①→② で1.27倍、②→③で1.03倍です。
つまり1mmオーバーサイズにて排気量13ccで3%の増加になります。
今までの②仕様でもセルが回りにくい感じはありましたが僅かこれだけで悪化するのも?です。
もう一つの要因は圧縮比の可能性もあります。
圧縮比の計算は
圧縮比=(燃焼室容量+ピストン容量)/燃焼室容量
です。
逆に圧縮比から燃焼室容量も算出出来ます。
燃焼室容量=ピストン容量/(圧縮比ー1)
先ずは360仕様の燃焼室容量を算出します。
圧縮比9.0として燃焼室容量は
354.66/(9.00-1)
=44.33ccとなります。
ヘッドガスケットはφ62.5×1.0mmですから容量6.14ccを引いた値の38.20ccがヘッド容量です。
このヘッド容量はそのままで450仕様のホークⅡピストンを組込みます。
ヘッド容量は同じ38.2でガスケットはφ75×1.0mmの8.83ccを追加した燃焼室容量が47.03ccとなりピストン容量も451.26ccですから圧縮比は10.59となりますがこれではちょっと圧縮比が上がり過ぎです。
実はピストン流用ですが単純にボア径だけではなくピストントップ寸法やトップの凸形状が重要です。
多分ピストン容量が大きいホークⅡピストンがN360に使用出来ているのはピストントップ寸法/凸形状がノーマルピストンより少な目で燃焼室容量が増える為圧縮比が実用域になるとのだと思います
一旦圧縮比を9.0と想定して450仕様の燃焼室容量を算出します。
圧縮比を9.0を想定した所ヘッド容量は47.57ccと仮定します。
これを元に450+1mm仕様時の圧縮比を算出しますがその際に一点加味しないといけないのはヘッドガスケットです。
今まではフライングさん在庫の500仕様にも使えるφ75mmのでしたが今回は450仕様専用のφ71mmのに変えたのでこの分燃焼室容量減って圧縮が上がっている筈です。
ヘッド容量を同じとしてヘッドガスケットをφ71×1.0mmの容量7.92ccとし+1mmアップのピストン容量にて圧縮比は9.36となります。
僅か1mmオーバーサイズでしたが思ったより圧縮比が上がってこれに排気量UP分の為セルダイで回り難くなったと想定されます。
当然大きくしてしまった排気量は落とせないので圧縮比を以前の値付近まで下げる必要があります。
実はN360の場合はクランクケースとシリンダーの間のガスケット厚みにより変更が出来ます。
通常0.5mmですがこれを厚くすればシリンダーを持上げ燃焼室容量をUPする事が出来ます。
0.5→1.0mm変更で+0.5mmアップの効果を確認します。
圧縮比9.36に対して8.8辺りに下がってくれます。
何とガスケット厚+0.5mmで圧縮も0.5程下げる事が出来そうです。
N360の圧縮比コントロールはガスケット厚にてそれなりにコントロールできる事が分かりました。
しかし実際にはヘッド容量の実測等による実際の圧縮比に把握が重要です。
実は以前トレノ君でも実際に実測した事があります。
http://pgc10kazu.web.fc2.com/trueno_07-07.htm
それともう一つちょっとDeepなお話を。
N360にて実施しようとしている様なヘッド面研やガスケット厚みの変更ですが実は問題もあります。
カムはクランクからチェーンにて駆動されますが当然その間の距離が変わっちゃうとピストンとバルブの開閉タイミングが変わってしまいます。
L型等シングルカムでも同じでカムにスプロケットを別体にして調整ができるようにしてます。
N360も同様で対策としては調整式スプロケット付きのカムが必要ですが普通は手に入りません。
普通はですが…
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