1シリーズ クーペのN54・DIY・DMEチューン・Tuner Pro・ブーストアップに関するカスタム事例
2024年11月28日 18時49分
前回の投稿にて、参考binを元に調整したデータのブーストの推移がギザギザだったのと、US仕様のbin故にDMTLエラー(シャドウコード)が出ているのが気に入らなかったので、自前のストックbinをベースにして1から調整を始めました。
地獄の一丁目に足を踏み入れたとも知らずに。
それから間もなく、自前のストックbinをベースにしたデータを作成しました。
「あのギザギザは何かおかしい設定が混じっているのだろう」と安直に考え、Youtubeやネットの文献を参考にし、数値を真似して入力した後、意気揚々とカスタムフラッシュをしました。
そして、試走をしてブーストをかけると・・・
「フワンワンワンワン」という音が聞こえてきました。
この音には聞き覚えがあります。
参考にしたギザギザブーストbinでも聞こえていました。
・・・え?どゆこと???
ログを確認してみると、参考にしていたbinと同じブースト推移が表示されました。
・・・え?どゆこと???(2回目)
それからネットで原因を探っていると「ターゲットブーストに実際のブーストが接近するとスロットルがクローズされる」という記述を見つけました。
確かに、MHDのログには"Throttle Position"なる項目があります。(実際にアクセルペダルを踏む際の開度ではない)
これは一体何が起きているのかというと「ターゲットブーストを超えない様にインマニ手前のスロットルバルブをDMEが操作している」ということです。
水色のグラフがターゲットブーストで、そこにオレンジ色の実ブーストが到達するとスロットルバルブが閉じられ、ブーストが下がり始めた所でスロットルバルブを開くので再びブーストがかかり、推移が凹形状になります。
DMEがスロットルバルブを閉じて、実ブーストがターゲットブーストから離れたので再びスロットルバルブを開く、再びターゲットブーストに到達すると再び閉じて開いて・・・。
という動作を繰り返している状態がこのグラフの図になります。
そうなるとどうなるのか?
スロットルバルブの開閉(紫色グラフ)に合わせて、タービンのアクチュエータが大きく開閉(緑色、これはWGDC Bank1)します。
アクチュエータが大きな動作で開閉を繰り返す事で排気圧が変わり「フワンワンワンワン」という音が聞こえてきていたのです。
なるほどなるほど、理屈はわかりました。
では解決策は?というと、ここからが非常に長かったです。
Bimmerpostを探してみても、主にストック~ボルトオンチューン(とbm3やMHD、JB4のマップフラッシュ程度)の情報しか載っておらずほぼほぼ役に立たない。
主にSpool Streetや60-130.comのスレッドを虱潰しに読み漁りました。
これかな?と思われるもの、そうではなさそうなものも端から変更して走ってログ確認、違ったら戻したり、傾向が変わったら維持したり、また調べて変更して走ってログを確認。
暇さえあればネットを漁り、情報を集めて夜な夜なアクセルを踏みつけて・・・
非常に大変でした。
もはや執念です。
後からグラフを見直してみると、タイムライン的にはブーストが上がって、(恐らく)ターゲットに到達してアクチュエータが圧を逃がす、その一環としてスロットルバルブを閉じる?様に見えます。
やっぱりロジックはわかりません。
※後で知ったことですが、動作シーケンスはスロットルバルブが初手ではありませんでした。
タービンのアクチュエータがまず駆動する様です。
トルクリミッターやロードリミッターを上げたり、スロットルが閉じてしまうタイミングを分析してWGDCのベースマップをログの負荷値とブーストポイントから区間特定して数値を微妙に変えていったり・・・。
そんな感じであれやこれや試している中で、ある時ログを確認するとスロットルが一度しか閉じていない状態を実現しました。
えええええ!!!!!!!!!!!!!
いやいやwwwwwずっとフワンワンワンワンワン聞こえてたがなwwwwwwwww勘弁してほしいっすwwwwwwwwwwwwスロットル閉じるだけが要因なわけじゃないのwwwwwwwwww
大分・・・それこそ、何かが壊れてエラーポーンが鳴ることよりも比じゃない位にガックリとしました。
Orz
「あー、そういえばあのデータ集に入ってたエクセルの数字(WGDC PID関連)は試してなかったなー、全部入れてみるかー」と思い出し、打ち込んでフラッシュして試走すると、シュオオオオオオオと正常なブーストの音が聞こえてきました。
「おおおおやっとできたああああ!」と、加速している車内でリアルに叫んでいました。
そもそも目標設定圧には到達していないのに(図は1barのグラフ)、ブーストの立ち上がり方だってMHDのOTSマップから劣りまくっているのに、喜ばずにはいられませんでした。
たった一週間ちょっとですが、毎日必死に情報をかき集めて悩みながらテストを繰り返してきた成果です。
感無量でした。
MHDのStage2+よりも全然ブーストもかからないし加速もしないのに、嬉しくて暫く遊んでいましたw
しかし、Stage2+よりももう少し上乗せしようという当初の目標はまだ達成出来ていません。
そもそも、ブーストターゲットをDME上で一応設定はできますが実際のブーストターゲット値は全く設定値に届いていません。
なのにブーストが上がるとターゲットに引っかかってスロットルが閉じるという、謎も謎の意味不明摩訶不思議状態です。
飼っている二匹のカタツムリを早く働かせて、ストックのターボインレットで1.25~1.3barあたりに到達させつつ、ブーストの立ち上がりを低回転から実現出来るようにしたいものです。
それにしてもこのDMEは難解です・・・。
色んなパラメータが複合的に絡み合っていて、マトリクス的に検証を進めないと泥沼に陥ります。(^^;
なんとかハイフロータービン交換車両までは自力で作れるようになりたいものです。
VANOSもなかなか面白そうですし。
それから間もなく、色々設定を再調整して1.35barが出来ました。
と言っても、継続してこのままにするつもりはありませんが・・・。(^^;
これは6速巡行状態からアクセルを踏み込んだ時のグラフです。
「純正タービン+純正配管でぶっ壊れない程度にブーストを上げてみたい」という、ふわっとした目標の値として1.35bar(MHD Stage2+の0.1乗せ)を設定。
主要な項目を一先ずちょいちょいと変えてみたところ、予定通りのブーストを達成することが出来ました。
ただし、純正タービン+純正配管という構成で安全なブーストの上限とされているのは1.24bar(18psi)の様です。(MHD Stage2+の設定値)
なので今回は安全を見て、ブースト目標値は1.28bar(18.6psi)を最終として、立ち上がりの改善等を施していきたいと思います。
あと、実はこのグラフの背後にはまだ直さないといけないマップがいくつか隠れているのでそこも修正しなければ・・・。(^^;
タービンのインレットとアウトレットを変えれば1.35barくらいまでは純正タービンでもいけるみたいなので、まずは現状の微調とハード面の再構成と・・・。
またダウンパイプ外さなきゃなんですよね~・・・。(^^;;;
また、今回色々と苦労しましたが、ブーストだけでもちゃんと目標値を達成出来て良かったと思います。
これを達成するためには色んなパラメータ(とはいえ主要なのはいくつかですが)を変更したらどう作用するのか、良い様に見えても裏で何が起こっているのかをちゃんと理解し、ログを見て大体の状態判断が出来ないと非常に難しいと思い、徹底的に制御関連の情報を調べる良い機会になりました。
タービン交換車両を自分でDMEを書き換えてブースト圧の制御が出来る段階ぐらいまでは来たと思います。
外部のチューナーに頼らずに済む、エラー時に自分で対処したり応急的な処置もある程度出来るようになったのは大分大きい要素に感じます。(特に日本では)
そして、TunerProでDMEを弄り始めてから実感したのは、MHDのOTSマップ(Stage 1~2+)は非常によく出来ているということです。
寒い時のコールドスタートでアイドリング調整をしてても一応リンプモードには突入しないラインをギリギリ保つし、上まで回した高負荷時もしっかりと燃料はリッチ側、AFRも安定しています。
タービンアクチュエータの動きも安定しているのでブーストの推移も安定しています。(ブーストの推移自体は該当のテーブルを使えば安定させられるのですが)
ですが、Stage2+から先がありません。
タービン交換をしたらカスタムチューンを依頼すれば良い話でもありますが、不調時にいつでも対処してくれるなんてことも当然無く。(それはそう)
この道のプロが日本にも、少なくとも一件はいらっしゃるみたいなのでどうしても困ったらそこへ伺うかもしれません。
で、次は何をやろうかな~と、タイミング調整はもちろんとしてテーブルを眺めていたのですが、これを見つけていました。
前から目を付けていたVANOSです。
で、このテーブルを見るとVANOSの定義テーブルにはアイドリング時のWarmとCold(と走行中のWarmとCold)があります。
BMWでVANOSが搭載されている車両のコールドスタート時にはバルブタイミングが変更されています。(雑に言うと、これによってうるさい)
点火タイミングが変わっていると言っている記述を以前見かけましたが、点火タイミングだけで音が変わるか?と以前から思っていました。
明らかにバルブの動きが違うはず、と思っていましたがこれを見かけてそれが正解だったということに思い至りました。
MHDのOTSマップもStage1と2で排気音が違います。
Stage2ではダウンパイプ推奨という記述をしている理由に思えます。
VANOSを弄ってエアフローを良くしているはずです。
そんなことよりも、温まった後も常時コールド時の爆おn・・・いえ、なんでもないです。(^^;;;
ちなみにこれはもう弄った後ですが、アイドリングの回転数の制御です。
MHD等で任意の回転数に固定が出来ますが、例えば冬季の冷温環境ではアイドリングの音を抑えるためにコールドスタートをオフ、かつダウンパイプ交換で音量を抑えようと低回転に設定すると・・・場合によっては冷間時にリンプモードに入ったり、失火気味の状態(燃調が濃い)になったりします。
エンジンが温まるまではちょっと上げておいて、定めた温度になったら回転数を下げる・・・という制御がこれで出来ます。
スライドバーをStock、及びアイドリング調整にチェックを付けない状態でもご近所迷惑を回避できます。
便利です。
他にも、1M用のROMへ書き換えたり(MSD81限定)、1Mで備わっている低回転の俊敏ブーストを反映させたりと、やれることがいっぱいで何からしようか迷っちゃいます。
順番に色々試していこうと思います。